韓国ソウル近郊の城南市シティホールで2012年8月31日から9月2日まで、韓国シリアスゲームフェスティバル2012(主催:京畿道コンテンツエージェンシーなど)が開催された。会場では一般来場者向けにシリアスゲームを展示する企業ブースをはじめ、シリアスゲームの国際会議、企業向けビジネスマッチングスペース、ステージイベントなどを開催。会場ではフリーマーケットなども併催され、多くの家族連れで賑わった。
国際会議では「ゲーミフィケーション」をテーマに、10セッションが開催された。基調講演では米ウィスコンシン・マディソン大学助教授で、ホワイトハウスで科学技術政策分野の政策アドバイザーも務めるコンスタンティン・スタインクラー氏が、米政府のシリアスゲームに関する取り組みについて紹介した。スタインクラー氏は、米政府はテレビゲームを経済と社会の発展において重要な存在だと位置づけ、投資を増やしていると説明。産官学の環境整備の一環として、昨年11月に「連邦ゲームギルド」を発足させたことを示した。同ギルドには軍や医療組織を筆頭に、33団体が加盟している。
また日本からも、国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)代表である筆者(小野憲史)と、日本大学教授の古市昌一氏が登壇した。筆者はゲーム開発者が制作に参加した事例として、「eスポーツグラウンド」
「アナグラのうた 消えた博士と残された装置」
「トレイッツ」を紹介。三菱電機で防衛用シリアスゲームの開発に関わった経歴も持つ古市氏は、プログラミングにおける標準プロセスを定めたISO/IEC12207や、IEEE Standard 1516.3の内容に基づき、プロセス重視の開発を行う重要性を訴えた。
シリアスゲームは教育・医療・公共政策などの社会問題を解決するためにデザインされたゲームの総称で、ゲーミフィケーションとはゲームデザインのノウハウを広く実社会に応用する動きのこと。韓国ゲームニュースサイト「GAME FOCUS」記者のイ・ヒョンジュン氏によると、韓国でもゲームに対する社会の拒否反応は根強く、行政が教育ゲームを中心にゲームの社会的効用についてアピールしている側面もあるという。シリアスゲームをテーマとした総合イベントは国際的にも珍しく、今後の展開が期待される。
韓国シリアスゲームフェスティバル2012