東京藝術大学大学院映像研究科が主催する公開講座「コンテンポラリーアニメーション入門〜現代短編アニメーションの見取り図〜」の今年度(2014年度)の詳細が発表された。

「コンテンポラリーアニメーション入門」は、同研究科のアニメーション専攻教授である山村浩二氏が企画と進行を務めるもので、同時代に活躍する世界のアニメーション作家たちを紹介する趣旨で始められた。2009年度から開始された同講座は、これまで15回を数えている。

今年度の「コンテンポラリーアニメーション入門」は3回行われ、取り上げられる作家は、アプローチや作風は違えど、すべて立体作品を中心的に手がける作家である。

今年度の第1回、通算第16回目の題目は「クエイ兄弟、失敗の迷宮」(7月11日開催)。ロンドンを活動拠点とする双子の人形アニメーション作家クエイ兄弟の作品世界について、イギリスの研究者でミドルセックス大学教授のスザンヌ・バカン氏が講演を行う。バカン氏はアニメーション研究に特化した学術誌Animation: An Interdisciplinary Journalのエディターを務めるなど、国際的にも著名なアニメーション研究者である。今回講演するクエイ兄弟の作品については、Quay Brothers: Into a Metaphysical Playroom(University of Minnesota Press, 2011)という著書も過去に出版している。クエイ兄弟の作品上映は35mmフィルムで行われることがアナウンスされており、貴重な機会となりそうだ。 

第17回(今年度の第2回)「岡本忠成の仕事」では、故・岡本忠成氏(1932-1990)が取り上げられる(7月27日)。岡本氏は、人形をはじめとした様々な技法を作品によって様々に使い分け、主に子供向け教育作品を中心に制作を行いつつ、1970年代には故・川本喜八郎氏とともに「パペット・アニメーショウ」を開催するなど、幅広い作風と活動で知られたアニメーション作家である。この回の講座でも、岡本氏の代表的な作品が35mmフィルムで上映される。さらには、岡本氏とともに作品制作を行った保坂純子氏、田村実氏、篠原義浩氏がパネリストとして招かれ、氏の偉大な業績の意義が改めて振り返られる。

第18回(今年度の第3回)「技法、子ども、メッセージ」は、カナダからコ・ホードマン氏を迎えてのものとなる(8月8日)。オランダ出身のホードマン氏は、カナダに移住後、カナダ国立映画制作庁に就職。『砂の城』(1977年)をはじめとした世界のアニメーション史に名を残す立体アニメーション作品を次々と発表、同スタジオの1970年代の黄金期を支えた一人となった。氏もまた岡本氏と同様に様々な手法を作品により使い分けている。その活動は近年も衰えず、人気のテレビ向けシリーズ「ルドヴィック」などを手がけている。

「コンテンポラリーアニメーション入門」は東京藝術大学の馬車道校舎で開催される。どの回も入場無料、予約不要。詳しくは公式ホームページを参照のこと。

「コンテンポラリーアニメーション入門」公式ホームページ
http://animation.geidai.ac.jp/ca/index.html