年に一度のゲームの祭典、「東京ゲームショウ2015」が9月17日(木)〜20日(日)にかけて、今年も千葉県千葉市の幕張メッセにて行われた。
「東京ゲームショウ2015」会場の様子(※2015年9月19日撮影)
【来場者は4日間で26万人を突破、史上2番目の記録に】
会場内は、今年も17〜18日のビジネスデイ、19〜20日の一般公開日ともに終日多くの来場者が集まり、主催者発表によると総来場者数は4日間の合計で26万8446人となり、2013年に次ぐ歴代2位の記録となった。このうち、ビジネスデイにあたる初日と2日目の合計が5万8615人、土日の一般公開日の合計が20万9831人となり、特に一般公開日は場所によっては移動も困難になるほどのたいへんなにぎわいとなった。
今年のショウのキャッチコピーは、「もっと自由に、GAMEと遊ぼう。」。開催初日となったビジネスデイの「CESAフォーラム基調講演」では、CESAの岡村秀樹会長が「日本ゲーム産業の現状と新生CESA」というテーマで、レベルファイブの日野晃博代表取締役社長は「クリエイター兼経営者だからこそできたヒットコンテンツ創出」というテーマで講演をそれぞれ行った。また、基調講演の第2部では、「ゲームマーケティング新時代〜動画配信プラットフォーム活用の新しい可能性〜」をテーマに、アマゾンジャパンのジョナサン・ナガオ氏、ドワンゴ取締役CCOの横澤大輔氏、YouTubeゲームコンテンツパートナーシップ世界代表のライアン・ワイアット氏が登壇しての講演も行われた。
【VRコンテンツが体験できるOculus、SCEブースが注目を浴びる】
今回の出展において特に注目が集まったのは、ともに2016年からのローンチを予定しているVRの新技術、Oculusの「Oculus Rift」とソニーの「Project Morphius」(※出展直前に「PlayStation VR」と改称)の2種類であった。Oculus、SCE(ソニー・コンピュータエンタテインメント)の両ブースでは、いずれもHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着し、実際にそのリアルな映像を体験できるとあって、初日のビジネスデイからブース前には長蛇の列ができており、とりわけOculusブースでは開場からわずか1時間ほどで入場整理券の配布が終了、その人気および期待の高さがうかがえた。
Oculusブースでは最新のHMD、Crescent Bayによるゲームのデモンストレーションと、サムスンGalaxy S6用のヘッドセット「Gear VR」を使用したVRコンテンツ体験ができるようになっていた。VRコンテンツのほとんどは海外製であったが、今回の展示にはコロプラが開発したパズルゲーム「Fly to Kuma」も含まれていた。またOculusブースとは別に、グリーのブースでも「Oculus Rift」に対応した謎解き型のゲーム「サラと毒蛇の王冠」が展示されていたことも特筆に値する。
一方、SCEブースに出展されていたVRコンテンツは「THE PLAYROOM VR」。本作は、プレイステーション4にプリインストールされた「PLAYROOM」に登場するロボットたちが活躍する姿を描いた複数のコンテンツをまとめて集めたものである。すでにアメリカのゲームショウ、「E3」でも発表されていたが、今回新たに東京ゲームショウでは「Cat & Mouse」と名付けられた、ネコとネズミがチーズの取り合いを演じるコンテンツが初めて公開された。
ソニー・コンピュータエンタテインメントブースに展示された「PlayStation VR」
また、バンダイナムコエンターテインメントのブースでは、同社が現在開発中のVRコンテンツ、『サマーレッスン』に登場する女子高生のキャラクターを、イベントステージに設置されたスクリーン内に登場させるステージイベントを開催した。『サマーレッスン』とは、2014年にSCEのプレスカンファレンスで初めて公開された作品で、プレイヤーは男の家庭教師という設定で、夏休みを利用してやって来た女子高生といっしょに過ごす体験ができるという内容である。
イベント中は、女子高生のキャラクターがステージ上にいるスタッフたちと、リアルタイムでの会話やアクションが行える、その名もリアルタイムキャラクターアニメーションという新技術を披露。モーションキャプチャーとゲームエンジンを融合させた本技術を利用することによって、今回のイベントと同様にステージに設置されたスクリーンを利用したライブイベントや、インターネットによる生放送も可能になるとのことで、こちらも開発関係者やメディアの関心がかなり集まったようだ。
【携帯・スマホゲームの出展、ゲーム実況によるイベントステージもますます増加】
携帯・スマホゲーム関連の出展が多かったのも、今回のショウの特徴のひつとに挙げられるだろう。各メーカーのブース内に作品が出展されただけでなく、3ホールにまたがって設けられた「スマートフォンゲームコーナー/ソーシャルゲームコーナー」においても国内外から多くの出展社が参加していた。また、1社単独で出展をしたCygames(サイゲームス)ブースは、大手ゲームメーカーと同等の広い展示スペースを確保するとともに、同社の出展タイトル『グランブルーファンタジー』内に登場する船を8分の1スケールで再現した、全長25メートルもの巨大な飛行船のセットを設置していたのがひと際目立っていた。
動画配信サイトのYouTubeが、前述したようにゲームコンテンツパートナーシップ世界代表のライアン・ワイアット氏が基調講演を行ったのに加え、会場内に初の単独ブースを出展したのも大きなトピックであろう。開催初日には、ゲームに特化した配信プラットフォーム「YouTube Gaming」の日本版を近日公開すると発表し、ステージでは「YouTube Live」によるゲーム大会の実況中継も実施した。プレイステーション4のシステムソフトウェアをバージョン3.0「KENSHIN(ケンシン)」にアップデートすると、「YouTube Live」へのライブ配信が可能になることもあり、同社がゲーム実況動画などの配信サービスを重要視している様子がうかがえる出展だった。
また、ゲームメーカー各社のブースに出展された新作ゲームを見てみると、プレイステーション4、プレイステーション3、PS Vitaの3機種またはいずれかの2機種で同じものをリリースする、SCEのハード間でのマルチプラットフォーム展開を実施したタイトルが非常に目立っていたのが大きな特徴であろう。逆に、Wii Uやニンテンドー3DSといった任天堂のプラットフォーム向けの出展タイトルはSCE向けのものに比べると少なく、またマイクロソフトが今回はブース出展をしなかったこともあり、Xbox One用ソフトはほとんど見られなかった。
メーカーブースのステージでは、インターネットを通じてゲーム大会などのゲーム実況イベントも多く行われていた(※写真はカプコンブース)
一般公開日において、特に注目を集めていたゲームはカプコンの人気シリーズ、「モンハン」の最新作である「モンスターハンタークロス」をはじめ、スクウェア・エニックスの「スターオーシャン5」やセガゲームスの「セブンスドラゴンIII code:VFD」、SCEの「Dark Soul3」、バンダイナムコエンターテインメントの「ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン」などが挙げられる。いずれも、開場直後には入場整理券の配布を終了したり、行列が数時間待ちになったりするほどの人気を集めていた。
【「イベントホール」、「物販コーナー」は今年も大盛況、「インディーズゲームコーナー」にも多数のゲームが出展】
一般公開日の「イベントホール」では、20日に行われた「アイドルマスター マストソングス 赤盤/青盤×アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ ゲームでバトルしちゃいM@S!」と題したライブを開催。今回も、「アイマス」こと「アイドルマスター」シリーズのキャラクターを演じる声優たちを集めたイベントは大盛況に。また、昨年に引き続いての出演となった「ミルキィホームズ」による「ライブ ミルキィホームズ 秋の大運動会」と題したライブが19日に、また20日には「黒子のバスケ」のライブイベント「KUROBAS CUP 2015」なども開催された。
メイン会場とは別の建物となる9〜11ホールは土日の一般公開日のみ入場できる形で運営され、こちらの会場内には「物販コーナー」、「サイバーゲームスアジアコーナー」、「インディーゲームコーナー」、「コスプレエリア」およびフードコートなどが設けられた。「インディーゲームコーナー」には、国内外からおよそ100の出展社・団体・個人が集まり、それぞれが個性あふれる作品を出展していた。また、「物販コーナー」の人気メーカーのブースには長蛇の列が並び、購入まで数時間待ちの案内が出るほどの大盛況となった。
小学生以下と、その同伴者限定で入場できる「ファミリーコーナー」では、例年どおり低年齢層向けの各種ゲームの出展をはじめ、キャラクターショーやゲーム大会が行われるステージや、簡単なゲームや駄菓子の販売を行う縁日コーナーなどを設置し、ゲームに登場するキャラクターの着ぐるみが不定期に訪れて来場者に無料で記念撮影に応じるサービスも実施。さらに、今年からは新たに「ファミリーコーナー+(プラス)」と題した、中学生以下限定でゲームが遊べるコーナーも登場。出展タイトル数こそ限られていたが、ここでは長時間行列に並ぶことなく、比較的短い待ち時間で遊べるよう配慮されていた。
(鴫原 盛之)
関連リンク
・東京ゲームショウ2015