12月3日(土)から公開された『けいおん!』が、公開二日目にして3億1600万円の興行収入を上げた。
映画の興行成績は、最初の週末の興行成績の5〜7倍程度と一般的にいわれている。そこから考えると『けいおん!』の興行収入は15億円から21億円の間と予想することができる。
過去の同傾向の作品(アニメショップでグッズを買うような熱心なファンが一定数存在する作品)と比較してみよう。90スクリーンで公開された『劇場版 銀魂 新訳紅桜篇』は、およそ10億円であった。対して、『けいおん!』の公開館数は137館と1.5倍の規模であるため、15億円を超えることは確実そうだ。冬休みに入り、中高生の稼働がどれだけ増えるかが、その後の伸びに影響するだろう。
『けいおん!』の興行成績に注目するのは、その興行形態がここ数年のアニメ映画の興行のトレンドと正反対だからだ。ここ数年のアニメ映画は、単館公開から公開館数を100館以内に絞った、中規模以下の興行が中心になった。昨今増えているイベント上映(映倫マークをとらず、OVAとして制作された作品を短期間劇場で上映する形式)も、この延長線上にある。アニメファンの人数を考えると、適正な公開規模だと考えられる。
だが一方で、「適正な規模で手堅く公開する」だけでは突破できない壁がある。パッケージソフトの売り上げがジリ貧状態であることを考えると、「アニメに好意を持っているが、ソフトを買うほどではない」、いわゆる“ライト層”を取り込んでファン層を厚くしていく必要があるのは間違いない。『けいおん!』はその点でブレがない。『けいおん!』第2期は、深夜アニメとしては異例ともいえるJNN系列全局での放送。これにより、深夜アニメにアクセスしづらい地方にもかなり浸透した。そしてそれが地方での公開館数の多さにつながった側面もある。
これからのアニメの劇場映画のありかたについて、『けいおん!』の成功は大きな示唆を与えるに違いない。
映画『けいおん!』公式サイト
http://www.tbs.co.jp/anime/k-on/
映画「「けいおん!」大ヒット 公開2日間で興収3億1600万円(アニメ!アニメ!ビズ)