フィンランド共和国の首都ヘルシンキで、2012年9月7日から9日にかけて、第27回ヘルシンキ・コミック・フェスティバル(Helsingin sarjakuvafestivaalit)が開催される。
このフェスティバルは1979年に第1回目が開かれており、北欧で最も古くから開催されているマンガ・イベントだ。昨年度の参加人数は公称で2万5千人。運営しているのはフィンランド・コミック・ソサイエティー(Suomensarjakuvaseura)。1971年に作者、コレクター、研究者などの手によって設立された。
現在は2008年に開館したフィンランド・コミック・センター(Sarjakuvakeskus)内に事務所を構え、その運営に携わっている。コミック・センター内にはギャラリー、書店、カフェなども併設され、様々なイベントやマンガのワークショップが開かれている。
フィンランド・コミック・ソサイエティーは、その他にも、1972年から続くマンガ情報・研究誌「サリャインフォ」(Sarjainfo)の発行や、アールト大学図書館のコミック・コレクション構築への協力を行っている。このコレクションには数千冊のフィンランドおよび諸外国のマンガ、マンガに関する論文などが含まれており、2011年には原画を収集するプロジェクトも発足しているという。
今年の第27回ヘルシンキ・コミック・フェスティバルではベルギーがゲスト国として設定されており、ブノワ・ソーカル氏(Benoît Sokal)やフランソワ=スクイテン氏(François Schuiten)など、数多くのベルギー人作家が招待されている。
フェスティバル開催期間中は、各所で20近い展覧会が開かれ、劇場でのマンガ・コンサートや、様々なカンファレンスなども予定されている。
ヘルシンキ現代美術館(NYKYTAITEEN MUSEO KIASMA、通称KIASMA)では「アイボーリング:あたらしいマンガのカタチ展」が開かれ、今注目されているフィンランド現代作家が展示される。集められた14人のマンガ家のうち、半分の7名が女性というのも北欧のマンガ・シーンらしい。
なかでも1981年生まれのアマンダ・ヴァハマキ氏(Amanda Vähämäki)はすでに世界中で注目されている女性作家で、この展示とは別に彼女個人の展示「アマンダ・ヴァハマキ:ピーロマー(隠れた地球)展」も開かれる予定。
その他にも最近日本で翻訳出版された『ベイビーズ・イン・ブラック』のドイツ人作家アルネ・ベルストルフ氏(Arne Bellstorf)や、フランス人のエミール・ブラヴォ氏(Émile Bravo)などが参加し、国際色豊かなフェスティバルとなっている。日本のマンガについても、アーチスト・グループ「チーム・パルヴェロ」(Team Pärvelö)によって日本マンガ・カフェが開かれる予定。
以前の記事でもお伝えしたように、北欧のマンガ・シーンは歴史も古く、なかなか興味深い。今回のフェスティバル中には、北欧コミック連合(Comics Union of Northern Europe、略称CUNE)によるアーチスト・レジデンス・プログラム発表も行われるようだ。CUNEには現在のところフィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、エストニア、ラトヴィア、リトアニア、ポーランド、ドイツ、オランダ、ロシアといった国々が参加している。
第27回ヘルシンキ・コミック・フェスティバル(英語)
http://sarjakuvafestivaalit.fi/in-english