■年次大会を通してコラボレーションする二学会

日本デジタルゲーム学会(DiGRA JAPAN、会長:細井浩一、立命館大学)とコンテンツ文化史学会(会長:吉田正高、東北芸術工科大学)が2016年2月27日と28日に年次大会を開催する。会場は芝浦工業大学大宮キャンパスで、同日・同会場での開催となる。ゲームやコンテンツを多面的に捉える両学会の年次大会併催で、本分野の研究活動や人材の交流がより活性化することが期待される。

日本デジタルゲーム学会は日本国内におけるデジタルゲーム研究の発展及び普及啓蒙をめざして2006年に設立され、今年で10年目を迎える。デジタルゲームには総合芸術という特徴があり、心理学・社会学・歴史学・情報工学・脳科学など、さまざまな分野で研究が行われている。本学会はこうした知見を集約する場としての役割が期待されており、年次大会では年々、発表内容の広がりが見られるようになってきた。

コンテンツ文化史学会はマンガ・アニメ・ゲーム・映画・音楽など、多種多様なコンテンツを総合的に議論・考察することと、日々消費されていく膨大なコンテンツを時代背景や歴史的視点をふまえながら、文化史として研究することを目的としている。設立は2009年で、例会や年次大会などの活動を精力的に推進。2015年5月の例会では、「歴史的遺物とコンテンツ」をテーマに、ソーシャルゲーム「刀剣乱舞」の制作者も交えた議論が行われた。

このように両学会とも、ゲームやコンテンツという対象を学際的な立場から、分野横断的に議論を進めている点が特徴だ。また例会や年次大会では産業界からの参加者や発表者も多くみられ、産学をまたいだコミュニティ育成の進展もみられる。

■企画セッションやシンポジウムにおける広がり

日本デジタルゲーム学会年次大会は「ゲームの歴史と未来」がテーマだ。基調講演は「大宮ソフトの歴史を紐解く〜経営・デザイン・技術の視点から〜」で、『カルドセプト』シリーズで知られる大宮ソフト取締役社長の鈴木英夫氏と、神奈川工科大学の中村隆之氏との対談形式で行われる。企画セッションではゲームデザインSIG・ゲーム教育SIG・オンラインゲームSIGから活動報告が行われる。

さまざまな領域を内包する本学会らしく、口頭発表はゲーム開発・ゲームと心理・VR(バーチャルリアリティ)など12分野にわたり、中でもゲームと心理は6本の発表が行われる。ポスター発表に相当するインタラクティブセッションでは、14本の発表や展示が行われる予定だ。このほか大会にあわせて開催される総会では、『パックマン』の生みの親として知られる岩谷徹氏(東京工芸大学)が次期会長に信任される見込みだ。

コンテンツ文化史学会年次大会は、日本デジタルゲーム学会と同会場開催ということもあり、「ゲームで学ぶ、ゲームで遊ぶ」をテーマに開催される。もっともコンテンツを中心に対象を複合領域で捉える同学会らしく、アニメや漫画などを含めた、多面的な議論が行われる予定だ。またシリアスゲームやゲーミフィケーションについても取り上げられる予定で、教育的活用と娯楽的活用の有機的な結合について議論が行われる。

そのため今大会では口頭発表などに加えて、シンポジウム2件と企画セッションが1件行われる。シンポジウムではゲーム開発者をゲストに迎えるものや、「大学におけるコンテンツ教育の展開と未来」をテーマにしたものが実施される。企画セッションでは2015年3月の「コミケットスペシャル6」で行われた「コミケットの未来・同人ソフトの未来」で語り尽くせなかった点について議論が深掘りされる。

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日本デジタルゲーム学会ホームページ

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コンテンツ文化史学会ホームページ