2011年3月11日に発生した東日本大震災から1年が過ぎようとしている。震災と原発事故の記録を残そうとする動きは、政府、研究所、民間の写真/動画共有サービス、個人の草の根的な活動等さまざまなレベルで展開された。
宮城県のせんだいメディアテーク(smt)は、震災の影響や復興の過程を記録発信する場として、「3がつ11にちをわすれないためにセンター(通称:わすれン!)」を2011年5月に開設した。同センターは市民、専門家、スタッフが協働し、復旧/復興のプロセスを独自に発信、記録し、収録された映像、写真、音声、テキストなどを「震災の記録・市民協働アーカイブ」として記録保存しようとするもの。震災体験を語り直し、支援を考える「わすれンTV311」をUstreamで毎週放送している。
ウェブサイトでは、震災直後から記録された資料を閲覧することができる。ウェブサイト内「しゃしんときじ」のアーカイブは、「星空:地震が起きた3月11日の夜は、停電になった。」というタイトルの静かな記事と美しい夜空の写真から始まる。多くの人々がさまざまな状況で経験した未曾有の出来事を、一人ひとりの記憶に寄り添って記録していこうとする姿勢が伝わってくる。
また、2012年1月11日に仙台国際センターにおいて、東北大学、ハーバード大学および総務省らにより開催されたシンポジウム「東日本大震災アーカイブの最前線と国境・世代を超えた挑戦」では、同センターの取組みが発表された。smtではこのような1年間の歩みを振り返る機会として、2012年3月6日から12日まで「星空と路:3がつ11にちをわすれないために」を開催する。同イベントでは、これまで集められた資料の展示、記録映像の上映、トークなどがおこなわれる。
私たちが直面した大震災や原発事故は、かつてない膨大で多様な記録資料が残されている。とりわけ震災直後からソーシャルメディアによって個人が発信した膨大な写真、映像、テキストは、ショッキングな資料として注目を集めた。しかし、多くの人命と財産を奪った悲劇的な出来事の記録/保存/公開はデリケートな問題を抱える。東日本大震災から1年という復旧/復興への長い道のりの過程において、本イベントは人々の記憶を風化させないために、今後どのように膨大な記録資料へ向き合い、どのように発信しつづけていくのか、という問いを投げかける。
せんだいメディアテーク「星空と路:3がつ11にちをわすれないために」
http://www.smt.jp/hoshizoratomichi/
3がつ11にちをわすれないためにセンター