日本デジタルゲーム学会(DiGRA JAPAN、会長:細井浩一)ゲームメディア専門部会では、2014年6月29日に東京・渋谷のGMO Yoursで第6回研究会「ゲームメディア黎明期の歴史を紐解く」を開催する。「マイコンBASICマガジン」の大橋太郎氏、「ゲーメスト」の石井ぜんじ氏の両編集長が登壇する。

ゲームメディア専門部会は2010年に開催された公開講座「メディアの変遷とゲームジャーナリズムの変化」を契機に研究会として発足し、過去・現在・未来に続くゲームメディアの歴史と拡散について知見を集積・共有することを目的に活動を展開。2014年6月に同学会の研究委員会に属する専門部会として再スタートをきった。

通算6回目を迎える本研究会では、ゲームプログラムの投稿雑誌として電波新聞社より1982年に創刊された「マイコンBASICマガジン」と、アーケードゲーム専門誌として新声社より1986年に創刊された「ゲーメスト」の両雑誌の創刊と変遷について、当事者の証言をもとに歴史を振り返る。

「マイコンBASICマガジン」は創刊以来、パソコン少年たちのバイブルとして、多くの常連投稿者を生み、後にゲーム業界で活躍するプログラマーを数多く輩出した。1983年からアーケードゲームなどの情報も取り扱うようになり、ゲーム情報誌としての性格も強化。電波新聞社自体もPCゲームメーカーとして、数多くの移植タイトル開発・販売を取り扱った。

2010年には「ゲームプログラマーの育成に対する多大なる貢献」として、「元 『マイコンBASICマガジン』 編集部とプログラム投稿者」が、CEDEC AWARDS 2010(プログラミング・開発環境部門)の最優秀賞を受賞している。

「ゲーメスト」はアーケードゲームの専門情報誌として人気を博し、1990年代の対戦格闘ゲームブームでは誌上での積極的な情報展開や、全国大会の開催などを通して、ブームの一翼を担った。

またゲームセンターからの申請に基づく全国ハイスコア集計の実施など、アーケードゲームのユーザーコミュニティ育成にも大きく貢献した。これにより多くの有名スコアラーが誕生し、その中にはゲーム業界で活躍した人物も見られる。1999年にはエンターブレインより後継誌「アルカディア」が創刊され、現在に至っている。

過去の研究会で、ゲーム専門誌には苗床となる上位レイヤーの雑誌(パソコン雑誌など)の存在が見られた。しかし両雑誌は創刊時より同人誌・ミニコミ誌と深く関係していたことが知られている。本研究会でこれまでとは異なるゲームメディアの成立過程が明らかになることが期待される。

ゲームメディアSIG#06「ゲームメディア黎明期の歴史を紐解く」
http://digrajapan.org/?p=1411