V2_は、主にオランダ政府の助成によって、イベント企画、研究、出版、作品のディストリビューション等の活動をおこなっている、アート&メディアテクノロジーに関する非営利組織である。1981年にオランダのセルトーヘンボスという町で設立され、1994年以降はロッテルダムに拠点を置いている。そのV2_が、2012年は5年ぶりにDutch Electronic Art Festival (DEAF)
 
を開催する予定だ。

V2_はコレクションを持たないプロジェクトベースの組織であることと、設立当時からパフォーマンスやライブなどのイベントが中心であったため、ドキュメンテーションの作成と保管を重要視してきた。2000年頃よりオンライン・アーカイブについての議論と調査が始まり、2003年に最初のウェブサイトが公開された(当時のウェブサイトの一部を閲覧できる)。

その後、システムの老朽化に伴い、2010年にオープン・ソースのCMS(コンテンツ・マネージメント・システム)をPlone(コンテンツ管理システム)で走らせたシステムが新たに構築された。

このシステムでは、データは、「Events」(展覧会、フェスティバル、レクチャー、ワークショップ等イベント)」「Works(作品)」「People(アーティストやキュレータなど関係者)」「Organizations(組織)」「Articles(小論文、インタビューなどテキスト)」の5つのメインカテゴリーで構成される。そして、独立したカテゴリーとして「Media(写真、ビデオ、PDF、サウンド等のファイル)」を設置し、上記5つのカテゴリーごとに関係するデータファイルがウェブページ上で表示される仕組みになっている。そのため、テキスト、写真、映像などが包括的に管理できる。また、現在上記5つのカテゴリーに収まらない内容をカバーするために、「Documents(主にテキストやカタログなど紙資料、やや「Article」に近い)」「Others(その他)」が実験的に設定されている。

本システムの特徴は、各データを複合的に組み合わせて1つのページに表示する点と、上層に来るデータ・カテゴリーごとに他のデータをフレキシブルに並べ変えて表示する点だ。また、データをメタデータとタグによって関連付けて「Related items」として右側のテーブルに表示する。そのため、ユーザーの関心に添ってさまざまな切り口からアーカイブを掘り起こすことができる。

運用面では、告知用に用意したデータが自動的にアーカイブされるので手間が最小限に抑えられ、CCライセンスされたコンテンツが多いため運用コストが低い。さらに現在V2_が公開しているオンライン・アーカイブのシステムはオープン・ソースであるため、希望者があれば配布できるそうだ。導入例にアート&インダストリアル・クリエイション・センター「LABoral」(スペイン)がある。本システムの詳細な運用ガイドラインやデータ・カテゴリーのポリシーが作成されており、文化施設やフェスティバル等を運営する組織のオンライン・アーカイブ構築への応用が期待できる。

V2_archive

http://www.v2.nl/archive