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報告者 日本アニメーション学会 土居伸彰氏

成果発表の場

「アニメーション研究のための論文と書籍のデータベースサイト」
http://database.jsas.net/mapping/

事業の概要

背景・問題意識

アニメーション学・アニメーション研究・Animation Studiesの発展は1980年代から隆盛となり、歴史を着実に積み上げている。しかし優れた研究は多数有るのに、それが「専門外」の研究者に届いていないのでは?という問題意識があった。それには日本に於けるアニメーション研究者の不足や、アニメーション研究の基礎的文献を把握できる書籍等の不足が背景にある。そこで本事業では専門家と専門家以外のこのギャップを埋めることに取り組むこととした。

これまでの経緯

2010年から「海外文献研究会」を日本アニメーション学会内に立ち上げた。平成24〜25年度「メディア芸術情報拠点・コンソーシアム構築事業」内の「マンガ・アニメーション研究マッピング・プロジェクト」のアニメーション側を日本アニメーション学会が受託し、有志チームにより文献のリストアップを行った。

  • 「アニメーション研究のためのブックガイド」(平成24年度)でアニメーション研究を行うための基礎的な学術書をリスト化した。
  • 「アニメーション研究マッピング・プロジェクト」(平成25年度)でアニメーション研究を行うための基礎的な学術誌(論文)をリスト化した。

これらの成果を経て、平成25年度にウェブサイト「アニメーション研究関連の論文および文献のデータベース」を公開した

平成27年度は「メディア芸術連携促進事業」の公募プロジェクトとして採択され、サイトを大幅にリニューアルして、書籍の情報を加えるとともに、日本アニメーション学会外の方を含む第一線で活躍する研究者・専門家による「推薦リスト」機能を拡充した。

今年度の事業

今年度の「マッピング」については以下のとおりである。

(1) 恒常的な更新・運営作業を行うため、学会の主幹事業化して運営体制を作った(研究・教育委員会の管轄)。

(2) 推薦リストの拡充を行い(前年度5本→今年度11本)、前年度の日本語のリスト3本も含めた全リストの日英二カ国語化を行った。

(3) 推薦リストに沿った新規エントリを入力した(論文約40本、書籍約120本)。

(4) ウェブサイトのマイナーチェンジを行った(「カテゴリー一覧」の追加、「著者一覧」の「姓→名」表示への変更など)。

今年度の「推薦文献リスト」について

下記の様にマッピングの視点を複数化することで広範囲をカバーするようにした。

○ビジネス
 聖地巡礼(山村高淑)
 アニメビジネスの基礎(数土直志)

○留学生のために
 日本のアニメ産業を知るための英語文献(レナト・リベラ・ルスカ)

○歴史
 世界アニメーション史(ジャンアルベルト・ベンダッツィ)
 日本アニメーション研究の黎明期を支えた文献(小出正志)

○批評・理論
 映像としてのアニメーション(キム・ジュニアン)
 アニメーション・ドキュメンタリー(アナベル・ホーネス・ロー)

○アニメーション作家
 アニメーション作家による本(山村浩二)
 インディペンデント・アニメーション(クリス・ロビンソン)

○アニメーション学会賞受賞者
 東映動画以前の日本アニメ史(萩原由加里)
 アニメにおける「戦い」の表象(足立加勇)

次年度に向けて

(1) これまで通り主要な学術誌の継続的な掲載を行う。

(2) 「推薦リスト」機能をさらに拡充させることで、現役の研究者が参照している文献を浮かび上がらせる。また、他分野(マンガ、ゲーム、メディアアート)との連携によるさらなる広範化を図る。