2014年月22日、23日に、東京ビッグサイトでアニメ業界を代表する総合イベント「AnimeJapan 2014」(主催:AnimeJapan実行委員会)が開かれた。アニメ制作会社、ビデオメーカー、代理店、出版社など企業や団体が出展し、各ブースでそれぞれの作品・サービスなどをアピールした。来場者は22日が59,630人、23日が51,622人と、予定された10万人を1割以上上回るにぎわいを見せた。そして2014年6月30日には、来年のAnimeJapan2015の開催発表が行われ、次回は来場者数12万人を目標とすると発表された。
東京では長らく東京国際アニメフェア(TAF)と呼ばれる国際見本市が開かれており、2012年と2013年はそこに加え、ファン向けイベントの性格が強いアニメコンテンツエキスポ(ACE)が加わった。「AnimeJapan 2014」は、この2つのイベントが実質的に合流した形で初めて開かれた。
来場者は、会場限定グッズなど明確な来場目的を持ったコアなアニメファンを中心にしつつ、アニメファンと親和性の高いネットの話題に興味のある層にまで広がっていたようだ。その点で客層はACEに近かった。いずれにせよこれだけの人数が集まったということは成功と言ってよいだろう。
RED・BLUE・GREENの3つのステージのほか、TVアニメ半世紀の歴史を振り返る「アニメ半世紀シアター」、アニメソング雑誌「リスアニ!」とコラボしたステージ「AnisongJapan」などに加え、各出展者ブースでのトークなどもさまざまに企画され、会場では多様なステージが2日間みっちり展開された。海外バイヤーは21カ国より331人が訪れたという。
来場者の関心の高さがうかがわれたのは2日間で14プログラムを行ったビジネスセミナーや、第一線で活躍するクリエイターが講師となる「クリエイター体験講座」。ビジネスセミナーは毎回客席が埋まり、周囲には少なからず立ち見客が出た。
「クリエイター体験講座」は事前申し込みした受講生がプロの指導者を受ける仕組みで開催されたが、見学のみの立ち見客も多く詰めかけた。ファンは作品やそのグッズだけでなく、アニメのクリエイティブやビジネスにも積極的な関心を持っていることがよくうかがわれた。
この傾向は制作会社、ビデオメーカー、出版社といった"アニメのお仕事"に関わっている企業の担当者が質問に答える「アニメのお仕事相談窓口」でも見てとれた。こちらも常時20人ほどが、順番待ちの行列を作った。
先行する2つのイベントと比較すると、来場者やその傾向がACEに近い反面、TAFでは設けられていたビジネスデーがなくなった点、TAFでよく見られた親子連れが少なそうに見えた点、新進のアニメーション作家をピックアップするクリエイターズワールド(http://www.tokyoanime.jp/ja/creators_world/about/)が出展されなった、といった変化が印象に残った。
6月30日の「AnimeJapan2015」開催発表では、こうした「AnimeJapan2014」での反省を踏まえた内容が発表された。
まず開催日が2015年3月20日から22日までの3日間となり、20日はビジネスエリアのみの開催となる。これによって平日に商談を行いたい来訪者への対応を可能にした。海外のバイヤーの招致にも力を入れるという。また、ファミリー専用の入り口を設け、小学生以下の入場料の無料を実施。さらに「ファミリーエリア」を設け、子どもたちが安心して楽しめるイベントを目指す。
「AnimeJapan2014」の成功をいかに「AnimeJapan2015」で発展させるか。「AnimeJapan」は単なるファンイベント、見本市であること以上に、社会に向けてアニメ業界が存在感をアピールする絶好の機会であり、さらなるイベントのブラッシュアップが期待されている。