国内最大のアミューズメント・エンターテインメント産業展示会「ジャパン アミューズメント エキスポ(JAEPO)2018」(主催:ジャパン アミューズメント エキスポ協議会)が幕張メッセ(千葉県千葉市)で2018年2月9日から11日まで開催された。会場はアーケードゾーンをはじめ6ゾーンで構成され、42社(国内41社、海外1社)が出展。発売前の最新ゲーム機やクレーンゲームの景品など約1000アイテムが登場し、いずれも無料で試遊展示された。

闘会議2018との合同開催を受けて、一般日は10代から20代の来場者が多く見られた(闘会議2018は2月10日・11日のみ)

アミューズメント産業は家庭用ゲーム機の性能向上やスマートフォンの浸透などの影響で、1996年度の8665億円をピークに縮小傾向にある。しかし2014年度の5833億円を境に2年連続でプラス成長を記録したことや(註1)、昨年と同様にユーザー参加型ゲームイベント「闘会議」(主催:ドワンゴ・Gzブレイン)との合同開催になったことを受けて、来場者数は昨年対比5.7%増の72,425名を記録。出展内容では「IP(知的財産権)・大型筐体ゲーム」「VRゲーム」「リメイクゲーム」などの傾向が見られた。

IP・大型筐体ゲーム

2000年代前半に家庭用ゲーム機が業務用ゲーム機に性能面で追い付いて以降、業務用ゲーム機は「家庭では楽しめない、業務用ならではの楽しさ」の提供を強めている。その代表例が大型筐体ゲームであり、近年では他社IPと組み合わせての付加価値向上が定番化している。JAEPO2018でもセガ・インタラクティブの『艦これアーケード』『Fate/Grand Order Arcade』をはじめ、『湾岸ミッドナイト マキシマムチューン 6』(バンダイナムコエンターテインメント)などの例が見られた。

また、企画段階からメディアミックス展開を念頭に置いたオリジナルタイトル『星と翼のパラドクス』(スクウェア・エニックス)のような意欲作も見られた。コクピット型筐体と複雑な操作系を組み合わせ、実際にプレイヤーがロボットを操縦しているかのような体験を提供するもので、世界観設定とアニメーション制作をサンライズ、キャラクターデザインを貞本義行氏が担当するなど、アニメ業界の著名クリエイターが多数参加している。稼動は2018年秋の予定だ。

他にアーケードゲームでは不特定多数のギャラリーが存在することから、音楽ゲームとの相性が良い。本ジャンルでもシャッフルダンスをモチーフにしたダンスゲーム『DANCERUSH STARDOM』(コナミデジタルエンタテインメント)や、レバーデバイスでキャラクターを操作し、リズムにあわせてボタンを叩いてプレイする『オンゲキ』(セガ・インタラクティブ)などの出展が見られた。

左:プレイアブル出展は見送られたが、単体ゲームでは最大規模となった『艦これアーケード』(セガ・インタラクティブ)コーナー。ステージイベントでは、多くの熱心なファンが詰めかけた
右:人気コミックが原作で、車好きに高い人気を誇るシリーズ最新作『湾岸ミッドナイト マキシマムチューン 6』(バンダイナムコエンターテインメント)
左:EDMにあわせて足を滑らせるように踊るシャッフルダンスがモチーフの音楽ゲーム『DANCERUSH STARDOM』(コナミデジタルエンタテインメント)
右:本格的なコクピット型筐体を採用し、最大16人で対戦できるハイスピード対戦メカアクション『星と翼のパラドクス』(スクウェア・エニックス)

VRゲーム

2017年から盛り上がりを見せはじめたロケーションベースでのVRゲーム。JAEPO2018でも国内外からさまざまなタイトルが登場し、確かな流れを感じさせた。2018年4月から15年ぶりにテレビアニメ放映が始まる『キャプテン翼』にあわせて、タイトーから実際にボール型コントローラーを蹴ってプレイする『VRキャプテン翼~燃えろストライカー~』が早くも登場。コーエーテクモウェーブが2017年にリリースしたVR専用筐体「VRセンス」でも、新たにスマートフォンとの連動試作などが発表された。

左:若林君と仮想世界で対戦! 必殺シュートも放てる『VRキャプテン翼~燃えろストライカー~』(タイトー)
右:スマートフォンとの連動機能「ジョイモバ」などの新規施策が発表された業務用VR筐体「VRセンス」(コーエーテクモウェーブ)
左:最大3対3のチーム対戦が可能なeSportsタイプのVRシューティングゲーム『TOWER TAG』(CAセガジョイポリス)。開発はドイツのVR-Nerds社で、VR HMDにはHTC Viveが使用されている
右:大型稼動筐体とガンシューター、そしてVRを組み合わせた『D-DAY 2077 VR』(PLAYER ONE)。こちらもVR HMDはHTC Viveだ

リメイクゲーム

JAEPO2018では名作ゲームのリメイクをはじめ、複数世代にリーチするゲームも多く見られた。1972年にアタリからリリースされた『PONG』のリメイク版(タイトー)は恒例で、メカトロニクス技術を活用し、タンジブル(実際に手で触ることができる)なゲーム機として復活。1977年にナムコからリリースされたクレー射撃体験ゲーム『シュータウェイ』も、新たに『SHOOT AWAY PRO』(バンダイナムコエンターテインメント)としてリメイクされた。どちらも20代の来場者には新鮮に映ったようだ。

左:ビデオゲーム市場を切り開いた『PONG』(タイトー)がメカトロニクス技術を用いてリメイク。ボールやラケットを映像ではなく、実際に手で触ることができる
右:1977年に登場し、一世を風靡したクレー射撃体験ゲーム『シュータウェイ』が『SHOOT AWAY PRO』(バンダイナムコエンターテインメント)としてリバイバル出展
2018年に20周年を迎える『電車でGO!』シリーズ最新作『電車でGO!!』(タイトー)。2017年11月より全国のゲームセンターなどでリリースが行われており、JAEPO2018では初の全国大会も開催された

メダルゲーム

今やゲームセンターで不可欠な存在となったメダルゲーム。1970年代から存在し、当初はカジノゲームをモチーフとしていたが、次第に日本的なアレンジが加わっていく。その過程で液晶ディスプレイが搭載され、より複雑なゲーム体験を提供するようになっていった。近年では親と子、祖父母と孫といった具合に、二世代・三世代で遊べることを打ち出すものも多い。中堅メーカーによるユニークな機器が見られる点も特徴で、JAEPO2018でもさまざまなメダルゲーム機が出展され、いずれも人気を集めていた。

左:数あるメダルゲームのなかでも最大規模の筐体を誇る『Star Horse 3』(セガ・インタラクティブ)。競馬をモチーフとした内容で、順位を当てるだけでなく、競走馬の育成や店舗間対戦など、多彩な遊び方ができる
右:ボール抽選ゲームとミニゲームを組み合わせ、多彩な遊び方ができる『カラコロッタ』。シリーズ最新作の『カラコロッタ 太陽とひみつの島』(コナミデジタルエンタテインメント)では、「SPロード」などの新機能を搭載。2種類のミニゲームも加わった
左:野球盤を彷彿とさせるメダルゲーム『BASEBALL Pro』(バンダイナムコテクニカ)。ボールをバットで打ち返し、ボールが役物に入ればメダルが払い戻される。開発は米BETSONで、同社は流通・販売・保守点検などを担当する
右:縁日の金魚すくいを大型液晶で再現したメダルゲーム『バシャバシャ』(エンハート)。手元のポイ型コントローラーを動かすと、画面上のポイが連動して動く仕組みだ

プライズ・その他

これ以外にJAEPO2018ではプライズゲーム・クレーンゲームや、既存ジャンルに当てはまらないユニークな機器の展示も見られた。また開催初日の9日にコナミアミューズメント、セガ・インタラクティブ、バンダイナムコエンターテインメントの3社で、ユーザー認証時に使用されるアーケードゲーム用ICカードの仕様統一に向けて合意がなされた。実際の提供は2018年夏としており、ユーザーの利便性がより高まることが期待される。このように新たな潮流が感じられたJAEPO2018だった。

左:人間の頭部より大きいカプセルが放出される超巨大ガチャガチャ『GIGATCHA』(ジー・ピー・エー・コーポレーション、参考出展)
右:海外向けに出展された『PAC-MAN SMASH MINI』(バンダイナムコエンターテインメント)。最大11枚のパックが一度に放出され、一定時間でのスコアを競う。2016年にリリースされた「PAC-MAN SMASH」が子どもでもプレイできるように小型化されたもの
左:ショベルカーをラジコン操作して、スーパーボールをゴールに入れる『安全+第一 すくってポン』(スタンバイ)。観光地で見られる時間制大型遊具の最新版といったイメージで、参考出展された
右:アミューズメントICカードはゲームセンターなどでネットワークゲームを継続的にプレイする際に使用するユーザー認証カードのこと。3社で仕様が統一されることで、1枚のカードで3社の対応機種にアクセスできるようになる。

(脚注)
*1
平成28年度アミューズメント産業界の実態調査・速報版より
http://www.aou.or.jp/news/1710/06.pdf


(information)
ジャパン アミューズメント エキスポ(JAEPO)2018
会期:2018年2月9日(金)~11日(日・祝)10:00~18:00※11日のみ〜17:00
会場:幕張メッセ
入場料:一般2,000円、小学生以下は無料
主催:ジャパン アミューズメント エキスポ協議会
http://www.jaepo.jp/top.html