マンガ部門
続くマンガ部門の展示では、貴重な原画や描き下ろしイラスト、制作の様子がイラストや動画で紹介されている。
大賞の『ねぇ、ママ』の作者である池辺 葵からは、『ねぇ、ママ』『雑草たちよ 大志を抱け』(審査委員会推薦作品)の両作品に関わったスタッフへの感謝のコメントが寄せられ、会場には本展のために描き下ろされたイラストも展示されている。
優秀賞の展示では、上野 顕太郎『夜の眼は千でございます』から、あるボクシングマンガを噺家の語り口調でマンガにした「落語マンガ」の原画が展示され、そのセリフを噺家が高座で公演しているかのように読み上げる音声が流れている。また、優秀賞の伊図 透『銃座のウルナ』、山田 胡瓜『AIの遺電子』も制作工程のわかる資料が展示され、高浜 寛『ニュクスの角灯』の展示では、足踏みミシンやタルカムパウダーなど作中に登場するアイテムも展示されていた。
新人賞では、アニメーション作家としても活躍する久野 遥子の『甘木唯子のツノと愛』、増村 十七『バクちゃん』が展示されている。『バクちゃん』はカラフルでファンタジックな絵柄で現実世界でも起こり得る移民の状況や心情が描かれたウェブマンガ。日本に暮らす外国人についてのデータも合わせて紹介され、作品中に描かれていることが自分たちの身近にも起こっているのではと考えさせられる。
マンガ部門はメイン会場での展示の他、優秀賞の『ニュクスの角灯』は表参道ヒルズでも原画と描き下ろし作品が展示され、数々のマンガ賞を受賞した板垣 巴留『BEASTARS』は新宿のルミネ2 東南口ウィンドウでも展示が行われている。
会場に設置されたマンガライブラリーでは、今回受賞したすべての作品を閲覧できる。今回、マンガ部門は過去最多の1,109作品の応募があり、マンガ表現の豊穣さを実感できる展示となっている。
マンガ部門大賞 池辺 葵『ねぇ、ママ』
© Aoi Ikebe (AKITASHOTEN)2017
マンガ部門優秀賞 伊図 透『銃座のウルナ』
© IZU Toru
マンガ部門優秀賞 高浜 寛『ニュクスの角灯』。足踏みミシンは作家所蔵のもの
© Kan Takahama /LEED Publishing
マンガ部門優秀賞 『夜の眼は千でございます』の上野 顕太郎
© Kentaro Ueno 2016
マンガ部門優秀賞 山田 胡瓜『AIの遺電子』
© Yamada Kyuuri(Akitashoten)2015
マンガ部門新人賞 『甘木唯子のツノと愛』の久野 遥子
© KUNO Yoko 2017
マンガ部門新人賞 増村 十七『バクちゃん』
© masumura17
マンガ部門新人賞 板垣 巴留『BEASTARS』
© itagaki paru (akitashoten) 2017
(作品情報)
第21回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展
会期:2018年6月13日(水)~6月24日(日)
会場:国立新美術館、TOHOシネマズ 六本木ヒルズ、インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター、スーパー・デラックス、表参道ヒルズ、ルミネ新宿 他
入場料:無料
主催:第21回文化庁メディア芸術祭実行委員会
http://festival.j-mediaarts.jp