「あそぶ!ゲーム展」で第3弾となる「デジタルゲームミレニアム」がSKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ 映像ミュージアム(埼玉県川口市)で開催中だ(2018年10月6日~2019年4月7日まで)。今回はグラフィックが2Dから3Dに進化した1990年代を中心に、業務用ゲーム・家庭用ゲーム・PCゲームなど50種類以上のゲームを展示。関連資料の展示も豊富で、転換期を迎えた日本のゲームシーンが重層的に切り取られていた。

「あそぶ!ゲーム展 ステージ3 デジタルゲームミレニアム」ホームページバナー

7つのコーナーでゲームの歴史を辿る

展示は年代順に従って、全体で7つのコーナーに分かれていた。本稿ではコーナーごとに展示内容を紹介していく。

①格ゲー戦国時代
②ジャンル細分化時代のデジタルゲーム
③「PlayStation®」による変革
④32ビット機戦争と広がるデジタルゲームの楽しみ方
⑤ゲーセン転換期のアーケードゲーム
⑥躍動する音ゲー
⑦21世紀の始まりを告げる家庭用ゲーム機

格ゲー戦国時代
2DCGと3DCG、両アートスタイルの代表作が紹介された「格ゲー戦国時代」エリア

『ストリートファイターII』『バーチャファイター』など、1990年代にアーケードで一世を風靡した格闘ゲームブームを実機展示とともに紹介。人と遊ぶ「対戦」プレイが一般化したことで、「ゲームが上手い」から「ゲームが強い」という新たな評価軸が登場。あわせてグラフィック表現が2Dから3Dへと移行していくさまが開発資料によって紹介された。プロゲーマーの原点ともいえる、人気格闘ゲーマーのインタビュー映像も上映されていた。

ジャンル細分化時代のデジタルゲーム
CD-ROMに代表されるマルチメディアブームに対して、「ゲームデザインの実験」という新たな解釈が設けられた

海外ゲームの影響、家庭用ゲームの性能向上、マルチメディアブームなどの要因で、1990年代に8ビット~16ビットゲーム機で新ジャンルが登場。CD-ROMの大容量を生かした『ときめきメモリアル』や、PCM音源のリアルなサウンドを生かした『弟切草』など、従来の区分に当てはまらない新しいゲームが登場した。この時期のゲームデザインの挑戦が32ビット機時代で花開いたことがよくわかる展示となっていた。

「PlayStation®」による変革
技術だけでなく、流通・宣伝・ビジネスモデルなどの変革も含めて一時代を築いたPlayStation®

1994年に発売されたPlayStation®は、当時市場の王者だったスーパーファミコンのビジネスモデルを変革するところからスタートした。この戦略が功を奏し、PlayStation®は1990年代後半から2000年代前半にかけて、家庭用ゲーム市場の王者となる。世代的には32ビット機で、次のコーナーに含まれるところだが、その功績を称えて独立した展示となっていた。

32ビット機戦争と広がるデジタルゲームの楽しみ方
1997年に国内市場がピークを迎えたゲーム業界。当時の勢いが良く伝わってくる展示内容だ

バブル崩壊後の日本経済で数少ない成長産業となったゲーム業界。ソニーを筆頭に主力家電メーカーがゲーム業界に参入し、セガや任天堂といった従来のハードメーカーと火花を散らした。その一方で海外から一人称視点シューティングやオンラインゲーム、国内では同人ゲームなど、PCゲームで新たな動きが始まった。このように百花繚乱時代を迎えた1990年代後半のゲームが展示されている。

ゲーセン転換期のアーケードゲーム
『電車でGO!』を筆頭に、大型筐体ゲームの広がりが「乗り物ゲーム」という切り口でまとめられた

ファミコンの登場以降、常に家庭用ゲームとの差別化を求められてきた業務用ゲーム。特に32ビット機が普及し、家庭でも3Dゲームが楽しめるようになると、「家庭ではできない新たなゲーム体験」を追求する必要に迫られた。こうした背景から登場してきたのが大型筐体ゲームだ。ここでは『電車でGO!』を筆頭に、電車・自動車・飛行機など、さまざまな「乗り物ゲーム」が紹介されていた。

躍動する音ゲー
技術とゲームデザインとプレイヤーの遊び方の変化がもたらした「音ゲー」ブームを紹介

「乗り物ゲーム」のブームが一段落した1990年代後半、業務用で彗星のように現われ、一躍大ヒットを記録した「音ゲー」。その背景にはハードスペックの向上でサンプリング音源が使用可能になり、映像とともにゲームの音楽が飛躍的にリアルになった点がある。これによりゲームセンターで「魅せるプレイ」が流行。ここではジャンルの始祖となった『beatmania』をはじめ、4機のゲームが紹介されていた。

21世紀の始まりを告げる家庭用ゲーム機
家内制手工業、今で言うインディゲーム的な作り方が許された20世紀から、本格的に開発工程が産業化していく21世紀のゲーム群を紹介

ゲーム業界にとって21世紀は、ゲーム機の世代交代とも歩調を合わせて始まった。これによりゲーム開発規模はますます増加し、業界は重厚長大路線に舵を切り始める。それはまた、日本の家庭用ゲームが世界シェアを落としていく過程でもあった。最終章となる本コーナーではPlayStation®2を筆頭に、端境期を担った家庭用ゲーム機や、アーケードの互換基板が紹介されていた。

ゲームの実機展示だけでなく関連資料も充実

以上の7つのコーナーでは、それぞれゲームタイトルに関する関連資料も展示されていた。そのなかから本時期における3Dゲームの代表作『バーチャファイター』、2Dゲームの代表作『ときめきメモリアル』、そしてゲーム産業が発展するなかで、新たなムーブメントとなった同人ゲームから『東方Project』の関連資料について紹介する。

『バーチャファイター』開発資料(格ゲー戦国時代コーナー)
今から見ればチープすぎる『バーチャファイター』の3DCGだが、原理は現在も変わっていない

本格的な3D格闘ゲームの幕開けとなった『バーチャファイター』。それぞれのキャラクターが繰り出す技は、モーションと呼ばれる連続的な動きによって表現されている。ここでは主要キャラクターの3DCGモデルや、主要モーションのアニメーションパターンが紹介され、最先端の3DCGといえども、パラパラマンガと同じ理屈で表現されていることが示されている。

『ときめきメモリアル』開発資料(ジャンル細分化時代のデジタルゲームコーナー)
設定資料だけを見れば、テレビアニメと見分けがつかない『ときめきメモリアル』

CD-ROMの搭載でアニメーションや音声データなどが扱えるようになった家庭用ゲーム機。その結果生まれた新ジャンルが「恋愛シミュレーション」だった。PCエンジンでリリースされた『ときめきメモリアル』は、その記念碑的なタイトルで、イベントシーンのビジュアル制作ではテレビアニメさながらの設定資料が作られた。このように、ゲームの映像表現が飛躍的に向上していったさまがみてとれる。

『東方Project』(32ビット機戦争と広がるデジタルゲームの楽しみ方コーナー)
当時の国民機・PC-9801シリーズ上で制作された『東方Project』シリーズ初期三作品

1990年代はホビーストや同人サークルが商業ゲーム開発に移行していった一方で、こうしたアマチュアゲーム開発者のコミュニティが縮小していった時期でもあった。その最中に発売され、現在インディゲームシーンで大きな人気を誇るのが『東方Project』シリーズだ。会場では当時東京電機大学の学生だったZUN氏が開発した初期三作品『東方靈異伝』『東方封魔録』『東方夢時空』をローテーションで展示。商業ゲーム群のなかで異彩を放っていた。

技術進化によって生まれる新しいゲーム体験

今回で3回目となる「あそぶ!ゲーム展」では、一貫して3つの要素が重視されている。第一にタイトルにもあるように「実機による試遊展示」にこだわっていること。第二にゲームだけでなく、開発資料やインタビュー映像など、周辺資料もあわせて行っていること。そして第三に、コンテンツだけでなく、それを生み出す技術進化にも焦点を当てていることだ。特に今回は2Dから3Dへの移行が大きなテーマに掲げられていた。

変化の扉を開いたのは、日本では業務用ゲームだった。1990年代に入り、レースゲームで導入が始まった3DCGは、格闘ゲームという大ヒットコンテンツを生み出し、ゲームシーンの中核に躍り出る。しかし32ビット機が登場し、家庭用ゲーム機で3Dゲームが楽しめるようになると、次第にゲーム体験の中心は業務用から家庭用に移行していく。これに対して生き残りを賭けた業務用ゲームは大型筐体ゲームへと軸足を移し、そこから音楽ゲームが登場。こうした技術革新による業界の変化が、わかりやすく紹介されていた。

今では過去の遺物となったフロッピーディスクだが、1990年代はこれによる販売・頒布が一般的だった

一方で技術進化はゲーム開発を「企業が行うもの」から「個人でも楽しめるもの」に解放した。1970年代のインベーダーブームのころ、ゲームは企業でしか開発できなかった。1980年代に入り、ファミコンブームが到来しても同様だった。しかし、その一方でホビーコンピューター市場が広がり、そこから次世代のゲーム開発者が育っていく。

これが1990年代に入ると、そこで育ったクリエイターが商業ゲーム開発に移行していく。その一方で海外ではインディーズ、日本では同人ゲームといった具合に、PCによる個人ベースでのゲーム開発が徐々に力をつけていった。

こうした動きを象徴していたのが、「32ビット機戦争と広がるデジタルゲームの楽しみ方コーナー」だ。会場ではFPS(First Person Shooterの略。一人称視点シューティング)の『Half-Life』、縦スクロールシューティングの『東方Project』シリーズ初期三作品という2つのPCゲームを並べて展示していた。どちらも大企業ではなく、ベンチャーや同人ゲームから生まれたヒット作であり、個人開発者でもゲーム開発ができるPCで制作された点が特徴だ。

その後、2000年代に入るとゲームの基礎技術がPCに移行したことを受けて、技術開発の中心が日本からアメリカに移行。家庭用ゲームにおける日本の存在感が徐々に低下していく。その一方で携帯電話、そしてスマートフォン市場が急速に拡大し、特に日本では支配的なプラットフォームとなった。

これが2010年代に入ると開発ツールの高性能化と無償化に伴い、インディゲームが世界的に流行。その一方でハイエンドゲームとの格差が広がり、業界は大作ゲームとインディゲームに二極化していくことになる。また、VRやARといった新しいゲーム表現手法が登場。ストリーミング技術の発達によりゲームを「見て楽しむ」という消費スタイルが生じ、eスポーツという新たな市場が生まれるまでに至った。

このようにゲームは技術革新に伴って次々に新しい体験を生みだしてきた。今後、どのように進化していくのか、それは誰にもわからない。2010年代のゲームも、すぐに陳腐化していくことが容易に想像される。しかし、未来を創造できるのも過去の蓄積があってこそだ。「あそぶ!ゲーム展」としての展示は、ひとまず今回で終了とのことだが、今後もさまざまな形でのアーカイブや展示を期待したい。

なお、展示されたゲーム機・ゲームソフト類は下記の通り(公式ホームページより、一部加筆・変更)

■アーケードゲーム
『ストリートファイターⅡ』(1991年/カプコン)、『天地を喰らうII 赤壁の戦い』(1992年/カプコン)、『ぷよぷよ』(1992年/セガ・エンタープライゼス)、『餓狼伝説SPECIAL』(1993年/SNK)、『バーチャファイター』(1993年/セガ・エンタープライゼス)、『鉄拳』(1994年/ナムコ)、『バーチャファイター2』(1994年/セガ・エンタープライゼス)、『レイフォース』(1994年/タイトー)、『ランディングギア』(1996年/タイトー)、『電車でGO!』(1997年/タイトー)、『怒首領蜂』(1997年/アトラス)、『ソウルキャリバー』(1998年/ナムコ)、『Dance Dance Revolution』(1998年/KONAMI)、『がんばれ運転士!!』(2000年/タイトー)、『バトルギア2』(2000年/タイトー)、『太鼓の達人』(2001年/ナムコ)、『beatmania THE FINAL』(2002年/KONAMI)、『pop’n music 18 せんごく列伝』(2010年/KONAMI)ほか

■家庭用ゲーム
•メガドライブ
『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』(1991年/セガ・エンタープライゼス)
•スーパーファミコン
『弟切草』(1992年/チュンソフト)、『スーパーマリオカート』(1992年/任天堂)、『実況パワフルプロ野球’94』(1994年/KONAMI)
•PCエンジン
『ときめきメモリアル』(1994年/KONAMI)
•PlayStation®
『リッジレーサー』(1994年/ナムコ)、『グランツーリスモ』(1997年/ソニー・コンピュータエンタテインメント)、『METAL GEAR SOLID』(1998年/KONAMI)、『どこでもいっしょ』(1999年/ソニー・コンピュータエンタテインメント)
•Panasonic 3DO REAL
『Dの食卓』(1995年/三栄書房)
•バーチャルボーイ
『レッドアラーム』(1995年/T&Eソフト)
•ゲームボーイ
『ポケットモンスター 赤・緑』(1996年/任天堂)
•セガサターン
『ファイターズメガミックス』(1996年/セガ・エンタープライゼス)
•NINTENDO64
『スーパーマリオ64』(1996年/任天堂)、『巨人のドシン1』(1999年/任天堂)
•『たまごっち』(1996年/バンダイ)
•PCゲーム
『東方靈異伝』(1996年/Amusement Makers)、『ウルティマオンライン』(1997年/エレクトロニック・アーツ)、『東方封魔録』 (1997年/Amusement Makers)、『東方夢時空』(1997年/Amusement Makers)、『Half-Life』(1998年/Sierra)
•ドリームキャスト
『シーマン~禁断のペット~』(1999年/セガ・エンタープライゼス)
•PlayStation®2
『ICO』(2001年/ソニー・コンピュータエンタテインメント)
•Nintendo GAMECUBE
『ピクミン』(2001年/任天堂)
※社名は当時のものです


(information)
あそぶ!ゲーム展 ステージ3 デジタルゲームミレニアム
会期:2018年10月6日(土)~2019年4月7日(日)9:30~17:00(入館は16:30まで)
会場:SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ 映像ミュージアム
入場料:大人510円・小人250円
主催:埼玉県
http://www.skipcity.jp/vm/game3/

※URLは2019年2月5日にリンクを確認済み