「第23回文化庁メディア芸術祭受賞作品展」が9月19日(土)から9月27日(日)にかけて、日本科学未来館で開催された。開催日前日の18日(金)には、報道関係者に向けて内覧会が行われた。また、今回は新型コロナウイルス感染拡大防止対策としてさまざまな措置が講じられており、本稿では内覧会の様子に加えて、そういった対策についてもレポートする。

1階企画展示ゾーンの入口付近
撮影:小野博史(以下の会場写真すべて)

新設されたフェスティバル・プラットフォーム賞

日本科学未来館に入ってすぐ、左手に位置するシンボルゾーンでは、今回新設されたフェスティバル・プラットフォーム賞の受賞作品『球小説』(作家名:YouYouYou)が展示された。本賞は、メディア芸術祭と連携する機関・団体において、設備・施設等の特性を活かした新しい企画展示案を公募し、優秀な作品に対して賞を贈呈するもので、第23回は会場となった日本科学未来館にある球体映像システムを活用した作品に授与され、球体ディスプレイの「ジオ・コスモス」、全天周立体映像システムを備えた「ドームシアターガイア」の2つに分けられる。『球小説』はジオ・コスモス カテゴリーで、天井につるされた球状のディスプレイに、異なる場所からの情景を同時に描き出す小説の文章を映し出した。

開放的な空間に設置された球状のディスプレイに投影された『球小説』

アート部門はバイオアートが初の大賞に

隣の企画展示ゾーンでは、アート部門、エンターテインメント部門の受賞作品の一部と、アニメーション部門、マンガ4部門の受賞作品のすべて、また功労賞を受賞した4名の功績がレイアウトされた。ゾーン入口近くに展示されているのは、アート部門で大賞に輝いたAdam W. BROWNによる『[ir]reverent: Miracles on emand』。聖体に見立てて配置した薄いパンから、微生物の働きによって生成された血のように赤くなった液体が染み出すというもの。教会でみられたという血の「奇跡」を科学によって引き起こ現してみせた。本芸術祭でバイオアート作品が大賞を受賞するのは初めてのこととなる。

『[ir]reverent: Miracles on Demand』の展示風景
培養液がしみ込んだパンを確認することができる

しばらくアート部門の作品が続く。『[ir]reverent: Miracles on Demand』の近くには、優秀賞を受賞したReKOGEI(代表者:石橋友也)の『between #4 Black Aura』のメディアインスタレーション、ソーシャル・インパクト賞を受賞したLauren Lee McCarthyの『SOMEONE』が配された。『between #4 Black Aura』は、伝統工芸をテクノロジーの視点から見つめ直す作品で、遠目では同じに見える漆彫刻の写真と3DCGのレンダリング画像が並ぶとともに、制作の基になった漆彫刻も展示された。『SOMEONE』は、4つの家に置かれたスマートデバイスを介し、鑑賞者が実際にAIアシスタントの役割を実践させられることを通して、現代のテクノロジーと人間の関係を浮き彫りにする作品であり、この展示では、状況を再現すべく机と椅子、ラップトップPC等が設えられ、実践の記録映像を上映した。本作が受賞したソーシャル・インパクト賞も、本芸術祭で新設された賞で、社会のなかに実装され、メディアテクノロジーのあり方や人々の行動様式などに新たな変化をもたらし、大きな影響を与えた作品に対して贈られる。

写真とレンダリング画像を並べた『between #4 Black Aura』。撮影された漆彫刻も展示
『SOMEONE』はポップなカラーリングの空間のなかに展示された

続いて優秀賞を受賞した2作品が並ぶ。Bull.Mileticの『Ferriscope』は、観覧車に乗るという体験がもたらした文化と人間の感覚の変容について探求するキネティックビデオインスタレーション。Nils VÖLKERの『Two Hundred and Seventy』は19世紀の円柱型ホールに設置された、270個の白いゴミ袋がファンによって膨らんだり縮んだりするサイトスペシフィックなメディアインスタレーションで、会場では、制作過程の記録映像とともに、展示作品の様子が映し出された。

『Two Hundred and Seventy』の展示風景

隣には新人賞に選出されたMarian ESSL『Latent Space』と、Sebastian WOLF『drawhearts』。『Latent Space』はもともと、ドーム状の空間のために制作された作品で、繊細な光の線が投影されるメディアインスタレーション。会場では特別に、鑑賞者の手の動きに光の線が反応して自在に動くインタラクティブインスタレーションが設置された。なお後述するが、本作品は6階のドームシアターでも実際に行われたパフォーマンス時に収録された映像が上映された。『drawhearts』は、噴射機を搭載した装置が、ガラス板に蒸気を噴きかけ、曇った面の上にハートの形を描き続ける作品だ。

『Latent Space』は白い台の上部にセンサーが備え付けられており、手をかざして動かすことで正面のモニターの映像が変化していく
『drawhearts』の噴射器を搭載した装置

アナログな手法も印象深いアニメーション部門

アート部門の次には、開けた空間にアニメーション部門のブースが立ち並んだ。最初に、大賞を受賞した渡辺歩による『海獣の子供』の映像が目に飛び込む。本作は五十嵐大介のマンガ作品を原作とした劇場アニメーションで、手描き作画と3DCGを高度に組み合わせることで、キャラクターをはじめ雨や波の細部に至るまで濃密に表現した。渡辺氏は、「原作マンガの世界を、どれくらいアニメーションとして表現できるかに挑んだ。なぜ描く必要があるのかという原初的なテーマまで立ち戻って考えなければならないほどのハードな作業ではあったが、理想のポイントまでは到達できた」と話す。

『海獣の子供』のブースでは、作品映像のみならずポスターのメイキング映像も流された。ガラスケースには絵コンテなどが展示
『海獣の子供』で監督を務めた渡辺氏

『海獣の子供』の隣に並ぶのが、ソーシャル・インパクト賞を受賞した話題作、新海誠による劇場アニメーション『天気の子』だ。少年と少女の出会いと別れを、異常気象をキーにしながら、豊富なエフェクトと作画技術をもって描いた。

優秀賞を受賞した八代健志によるストップモーション・アニメーション『ごん』は、実際の撮影で使われた人形が目を引く。新実南吉の児童文学『ごんぎつね』を原作とし、小道具に至るまで本物志向でつくりこまれた映像が評価された。

『ごん』に登場したキャラクター
ガラスケースいっぱいに撮影で使われた人形やセットの一部が並ぶ

その後も優秀賞を受賞した作品が続く。Paul E. CABONによる手描きの短編アニメーション『Nettle Head』は、作者自身の若いころの体験を基に、少年が得体の知れない何かに襲われる恐怖と戦うさまを描き出した。川尻将由の『ある日本の絵描き少年』は、マンガ家を目指す男の半生を、実験的な手法で描いた短編アニメーション。主人公の成長とともに、子どもが描くようなものから、プロのマンガ家の描くものへと、絵柄が変化を遂げていく。レミ・シャイエによる劇場アニメーション『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』は、フランスとデンマークの合作で、19世紀のロシアに暮らす貴族の子女の冒険の物語。

作品映像とともに、作中カットとイメージボードも展示された『Nettle Head』

新人賞を受賞したのは、築地のはら『向かうねずみ』、CHENG Jialin『浴場の象』、Daria KASHCHEEVA『Daughter』で、いずれも短編アニメーション。『向かうねずみ』は、ねずみのアニメーションとそれを任意のタイミングで変更できるアプリケーションとを作成し、街に投影して撮影した作品で、会場にはプロジェクターとカメラが載った台車が置かれ、壁に映像が映された。『浴場の象』はラフな線と優しい色調で、90年代後半の中国の浴場を舞台に、少女が出会った黒い象をノスタルジックに描く。『Daughter』は、父娘の関係をテーマに描いた作品で、特に登場人物である人形を撮影する際の手ぶれ効果や、被写体深度の操作など、テクニック面が評価された。

撮影機材がそのまま展示された『向かうねずみ』

唯一無二の空気感をまとった作品がそろうマンガ部門

マンガ部門は、ソーシャル・インパクト賞受賞の真鍋昌平による『闇金ウシジマくん』から始まる。15年にわたる雑誌連載が2019年に完結した本作は、闇金融の経営者・丑嶋が負債者から取り立てを行う様子を通して、現代社会の歪みと果てしない人間の欲望を描出した。

大賞に輝いた島田虎之介『ロボ・サピエンス前史』は、ロボットと人間が共存する時代を舞台にしたオムニバス作品。建物など背景のディテールは簡略化され、キャラクターはシンプルな線で表現された絵柄だが、そこには詩情が漂う。本作品が生まれるまでの経緯について、島田氏は「SFとハードボイルドミステリーを描いてみたいという気持ちから、思いつくままにストーリーを進めていった。今までで一番、すらすらとリラックスして描けた」と話した。

『ロボ・サピエンス前史』で大賞を受賞した島田氏
ガラスケースにはマンガ原画やネーム、作者のサイン入り色紙などが展示された

続いて新人賞に選出された3作品が並ぶ。和山やま『夢中さ、きみに。』は8篇からなるオムニバス作品で、前半と後半でそれぞれ一人の少年を中心に据え、彼に惹かれる男女のやりとりをコメディ要素も含みつつ描いた。イトイ圭『花と頬』は、一筋縄ではいかない高校生の男女のひと夏の物語を、丁寧な心理描写で表現。伊藤敦志『大人になれば』は、男が街中で穴に遭遇し、過去と未来を行き来するさまを自由な構成で表した自主制作マンガ。

リアド・サトゥフ/訳:鵜野孝紀『未来のアラブ人 中東の子ども時代(1978–1984)』は、ヨーロッパで著名なマンガ家による人気シリーズの一作。リビア、フランス、シリアを舞台とし、文化の狭間で揺れ動く主人公の姿を自身の経験も込めて描いた自伝的作品。安野モヨコ『鼻下長紳士回顧録』では、さまざまな欲求を抱える客たちが夜な夜な訪れる売春宿での人間模様が、娼婦として働く主人公を中心に展開される。野田彩子『ダブル』は、演劇にまい進する青年2人の関係性を、リアリティあふれる筆致で表現。雁須磨子『あした死ぬには、』は40代の女性たちの物語。歳を重ねることによる心身の変化や複雑な思いを、繊細さと軽やかさをもって描き表した。以上の優秀賞に選ばれた4作品が、一続きで展示された。

『未来のアラブ人 中東の子ども時代(1978–1984)』は、コミカルな要素を取り入れるなど、読者への配慮をちりばめながら自らの経験を率直に伝えた
主人公2人の感情の機微を細やかな表現で描いた『ダブル』

映像作品から空間表現、ゲームやアプリケーションなど
バラエティに富んだエンターテインメント部門

続くエンターテインメント部門で最初に目に入るのは、日本オリンピックミュージアムに設置されたウェルカムビジョンのためにつくられた、佐藤雅彦/佐藤匡/石川将也/貝塚智子らによる映像作品『Shadows as Athletes』。ピアノの演奏をバックに、競技を行うアスリートの影を主役に据えた映像が展開される。佐藤匡氏は「影という欠落した情報に着目した作品。鑑賞者の想像力によってリアリティを感じられるような映像になっている。影だけでなく、実体も映しているにもかかわらず、影のほうが主体的に見えてくる体験ができると思う」と作品について語った。

『Shadows as Athletes』では、俯瞰もしくは天地が反転した映像が展開される
作品について説明する佐藤匡氏

暗い空間にたたずむのは、優秀賞を受賞した『朗読演奏実験空間 “新言語秩序”』プロジェクトチーム(代表:amazarashi 秋田ひろむ)による『amazarashi 武道館公演『朗読演奏実験空間 “新言語秩序”』』。公演前に、観客は音楽アーティストamazarashiによる小説、ミュージックビデオといった表現物を閲覧できるアプリを携帯端末にダウンロードし、公演当日はスマートフォンのフラッシュとステージを囲むスクリーンが同期するなか、事前に公開されていた新曲の全貌が明らかになる。会場ではその模様を再現すべく、四面スクリーンとスマートフォンが設置された。

『amazarashi 武道館公演『朗読演奏実験空間 “新言語秩序”』』の展示風景。左奥にはアプリをダウンロードしたスマートフォンも

同じく優秀賞を受賞したのは、15歳に満たない少女の運命を描き、少女や女性が直面するというイランにおける問題を浮き彫りにしたSolmaz ETEMAD『CELLMate』、タレントが大喜利に特化した対話型AIを育成していく番組企画が基となるアプリケーション、映像作品『大喜利AI&千原エンジニア』制作チーム(代表:竹之内大輔)の『大喜利AI&千原エンジニア』、戦国時代末期を舞台とし、プレイヤーは忍者を操りながら幽閉された主を救うべく戦うアクションアドベンチャーゲーム、SEKIRO開発チーム(代表:宮崎英高)の『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』。

『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』では、ゲーム映像のほか、主人公・狼の義手が実寸大で再現された

その向かいには、ソーシャル・インパクト賞を受賞した吉田拓巳による『移動を無料に nommoc』、U-18賞を受賞した石巻のこどもたち(代表:酒井理子)『まほう』が展示された。『移動を無料に nommoc』は、ユーザーにとってのメリットである無料で乗れるタクシーを、広告主にとってのメリットをも生みだすことで社会に実装した、移動に新しい付加価値をもたらすサービス。『まほう』は、宮城県石巻市の子どもたち9人を中心として、クリエイティブ集団goen°によるディレクションのもと、「石巻の子どもたちとアートを作ろう」プロジェクトとして製作された映像作品。U-18賞も本芸術祭で新設された賞で、今回は2002年4月2日以降に生まれた応募者による作品のなかから、優秀な作品に対して贈られた。該当の作品はエンターテインメント部門のみとなった。

『移動を無料に nommoc』はパネルと映像でその仕組みを説明
『まほう』は映像作品と、作中に登場する子どもたちによるイラストが展示された

功労賞は各分野での活動が評価された4名に

企画展示ゾーンの最後には、功労賞を受賞したメディア・アーティスト/写真家の幸村真佐男、プロデューサー/アニメーション史家のなみきたかし、少女雑誌コレクターの村崎修三、作曲家/脳科学者の山城祥二の功績が並んだ。幸村氏は日本で初めてのコンピュータ・アート・グループ「CTG」として活動し、国際的なコンピュータ・アートの第1世代を担った。なみき氏は、アニメーターの団体「アニドウ」での活動をはじめとして、アニメーション作品の上映やアニメーション関連書籍の出版活動を行ってきた。村崎氏は、中学時代より少女雑誌の蒐集を始め、2003年、熊本県の菊陽町図書館に全雑誌を寄贈、コレクションを管理する職員として「少女雑誌の部屋」を長年担当した。山城氏は、超高周波による効果「ハイパーソニック・エフェクト」を発見したほか、芸能山城組を主宰している。

内覧会に駆け付けたなみき氏。功労賞受賞者はそれぞれインタビュー動画と著作物などが展示された

インタラクティブな作品が目立つエンターテインメント部門新人賞と
暗い空間で鑑賞できる2つのアート部門の受賞作品

7階には、アート部門とエンターテインメント部門の受賞作品の一部が展示された。中央のオープンスぺ―スにあるのはエンターテインメント部門で新人賞を受賞した3作品。入口側から、前川和純/松原晟都による、トラッキングカメラとロボットハンドで「目標物に命中した体験」を計算機的に生成する作品『PickHits』。実際にロボットハンドを使いながら、番号が書かれたパネルに向けて球を投げるデモンストレーションも行われた。『トントンボイス相撲』制作チーム(代表:大瀧篤)の『トントンボイス相撲』は、高齢者の喉の機能の回復を目的として制作された紙相撲をモチーフとしたプロダクトで、プレイヤーの掛け声により土俵が振動し、力士が動く仕組み。赤松卓太/露木卓也/竜沢賢吾/尾崎風椰『Buddience 仏像の顔貌を科学する』は、仏像216体の感情や年齢を、感情認識AIにより数値化した奈良大学の学生によるプロジェクトだ。ウェブコンテンツでは、ユーザーがアップロードした顔写真から、AIによってその感情状態に近い仏像が提示される。

『PickHits』のロボットハンドを装着して腕を振ると、機械が適切なタイミングで球をリリースする
『トントンボイス相撲』は、スポーツ施設への常設のほか、全国の玩具店やオンラインストアなどで発売された

隣のコンファレンスルーム「金星」には、アート部門で優秀賞を受賞したNatura Machina(筧康明/Mikhail MANSION/WU Kuan-Ju)による『Soundform No.1』。熱エネルギーが音響エネルギーに変換されるときに発生する音を利用した装置を配置したサウンドインスタレーションで、暗い空間のなかつり下げられたガラス管から独特の音が生じる。

『Soundform No.1』は、熱音響現象を利用した聴覚と視覚に訴えかける作品

続く、コンファレンスルーム「火星」「水星」には前年度のメディア芸術クリエイター育成支援事業で制作された成果作品が展示された。『画家の不在』制作チーム(代表:五島一浩)によるメディアインスタレーション『画家の不在』、滝戸ドリタのアートプロジェクトほか『「もし植物に筋肉があったなら」と「生命と機械の学校」』、大西景太によるメディアインスタレーション『Forest and Tress AR』、「搬入プロジェクト」の山口での実施を目指す会(代表:渡邉朋也)のアートプロジェクト、リサーチ『「搬入プロジェクト」を山口で実施する』の4作品だ。

また、別の「スタジオ」にあるのはアート部門で新人賞を受賞した、細井美裕によるサウンドインスタレーション『Lenna』。ヴォイスパフォーマンスも行う細井が、自身の声を用いて22.2chで制作した音声のみの作品。展示会場では、スポットが一灯だけともされた部屋の中で、音とその音が響く空間とを存分に体感できる。

ドームシアター、未来館ホール、イノベーションホールでは作品を上映

6階のドームシアターでは、フェスティバル・プラットフォーム賞を受賞したドームシアター カテゴリーのTiff RANDOL / CEN Kelon / Thor FREUDENTHAL / YEN Shih-Lien『Starman』が上映された。本作品は、アーティストIAMEVEによるミュージックビデオで、自身が扮するイブとそのソウルメイト・スターマンの出会いの物語を描いた。また会期中には、アート部門で新人賞に選出されたMarian ESSLのメディアパフォーマンス『Latent Space』のパフォーマンス映像も上映された。いずれもドームシアターの全天周・超高精細立体視映像システムを活用したものとなっている。

さらに7階の未来館ホール、イノベーションホールでは、映像作品上映会が実施された。アニメーション部門受賞作品に加えて、審査委員会推薦作品に選出された劇場アニメーション、テレビアニメーション、短編アニメーション計36作品、またエンターテインメント部門審査委員会推薦作品の映像作品8作品が上映された。

感染対策として事前予約制がとられ、オンラインコンテンツも充実

本作品展では、新型コロナウイルス感染拡大防止対策として、入口でのサーモグラフィーによる検温、会場各所への手指消毒液の設置のほか、さまざまな対策がとられた。そのひとつが、企画展示ゾーンの出入口付近に設けられた「マンガタッチレス閲覧コーナー」。モニター前で手を動かすと、カメラ付きセンサーでそれを判定して、操作ができるというもの。来場者は画面に触れることなく、マンガ作品を読むことができる。

「マンガタッチレス閲覧コーナー」ではモニターが複数台設置された

また、本作品展、映像作品上映会、加えて受賞者や審査委員等によるワークショップは、すべて事前予約制となったほか、会場では混雑緩和のため人数コントロールが行われた。ドームシアター、未来館ホール、イノベーションホールでは、席数を減らして上映し、上映の合間には場内を換気・消毒を行った。

さらに、作品展開催前の9月14日(月)から会期終了後の10月31日(土)にかけて「第23回文化庁メディア芸術祭 特設ウェブサイト」をオープン。受賞者トーク・インタビューなどのトークイベントの動画、作品展をVR映像で見ることができる「受賞展VRツアー」、各作品の受賞者トークや作品展示風景の動画などを掲載し、実際に作品展に参加しなくても、作品についてより深く知られるような工夫が凝らされた。

「第23回文化庁メディア芸術祭 特設ウェブサイト」トップページ
「受賞展VRツアー」では、パソコンやスマートフォンで3Dビュー映像を楽しむことができる

(information)
第23回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展
会期:2020年9月19日(土)~9月27日(日)10:00~17:00
会場:日本科学未来館
入場料:無料
主催:第23回文化庁メディア芸術祭実行委員会
https://j-mediaarts.jp/
*上記ウェブサイト内の「受賞作品集[電子書籍]」より、受賞作品、審査委員会推薦作品、功労賞などをすべて紹介した電子書籍「第23回文化庁メディア芸術祭 受賞作品集」が閲覧できる。日本国内に限り、プリント版の購入も受け付けている。

※URLは2020年10月6日にリンクを確認済み