「文化庁メディア芸術海外展開事業」では、主に「文化庁メディア芸術祭」の受賞作品を中心とした作品の展示・上映・プレゼンテーション等を行っています。年間を通じて海外での企画展を複数回開催し、作家や専門家の現地派遣やオンラインでの情報発信をしています。令和2年度、令和3年度は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、各フェスティバルへはオンラインにて出展を行いました。令和2年度同様、令和3年度は「アヌシー国際アニメーション映画祭 2021」(フランス)、「アルスエレクトロニカ フェスティバル2021」(オーストリア)、「第27回マンガバルセロナ」(スペイン)にオンライン出展したほか、複数のフェスティバルにて、本事業で制作したアニメーションプログラムの上映を行いました。ここでは、令和3年度のオンライン出展を中心に、海外展開事業の取り組みをご紹介します。
メディア芸術海外展開事業では、優れたメディア芸術作品を紹介するため、海外のメディア芸術関連のフェスティバル・施設やオンラインにて、「文化庁メディア芸術祭」の受賞作品を中心とした企画展の開催やパッケージプログラムの上映、専門家によるプレゼンテーション、作家によるワークショップ等を実施しています。
企画展では、企画ディレクターがテーマに基づいた作品選定を行い、現地参加先と共同で展覧会を開催。出展作家は現地やオンラインにて、展示やプレゼンテーション、ワークショップなどを行います。
これらの活動を通じて、作家や専門家による現地での交流を促し、日本のメディア芸術への国際的な理解と評価向上、文化庁メディア芸術祭の周知と応募促進を行っています。
また、令和3年度の「アルスエレクトロニカ2021」では、「プリ・アルスエレクトロニカ2021」デジタルミュージック&サウンドアート部門栄誉賞および「第24回文化庁メディア芸術祭」アート部門優秀賞をダブル受賞した日本人サウンドアーティストのevalaによる受賞記念ライブ・パフォーマンスを行いました。
※好評につき、期間限定(2021年12月20日(月)8:00〜2022年1月11日(月)8:00〔日本時間〕)で特別に再配信が決まりました。この機会にぜひご視聴ください。
https://jmaf-promote.jp/art2021/evala/
アヌシー国際アニメーション映画祭 2021
毎年フランス・アヌシー市にて開催される、「アヌシー国際アニメーション映画祭/MIFA(併設見本市)」はアニメーション映画祭として、世界最大級にして最高の権威を誇ります。令和3年度は新型コロナウイルス感染症を考慮し、オンラインとフィジカルのハイブリッドでの開催(会期2021年6月14日〜19日)となりました。
本企画では、映画祭併設見本市である「MIFA(Marché international du film d’animation)」にオンライン出展し、映像産業のプロフェッショナルやアニメーションを学ぶ学生に向けたパネルディスカッション、ワークショップ、短編アニメーションのスクリーニングなどの公式プログラムを実施しました。また映画祭の会期(2021年6月15日〜18日)にあわせ、特設サイトを開設し、メディア芸術祭を受賞したアニメーション作品のご紹介や受賞者を招いたトークセッションを開催しました。
●令和3年度企画テーマ
Expanded Animation(拡張するアニメーション)
インターネットをはじめとするIT技術の進化により、アニメーションの表現や制作手法は大きく変わっています。一方、コロナ禍により人々の生活態様は変わり、新しいメディア環境の下で、これまでとは異なる方法や場所での映像体験が生まれています。そんな中、アニメーションの役割と重要性はさらに大きくなり、これまでのアニメーションの概念を超える表現がどんどん出てきています。
日本の文化庁が主催する「メディア芸術祭」の海外展として、日本で起こりつつあるアニメーションの拡張と、そこで自由で大胆な創作を行っているクリエイターたちのエネルギーを世界に紹介できればと思っています。(一部抜粋)
企画ディレクター:岡本美津子(プロデューサー/東京藝術大学副学長、同大学院映像研究科教授/株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス 取締役)
企画テーマ全文を読む(英語)
https://jmaf-promote.jp/animation2021/curatorial_theme/
●メディア芸術海外展開事業アニメーション部門特設サイト(英語)
令和3年度:https://jmaf-promote.jp/animation2021/
令和2年度:https://jmaf-promote.jp/en/animation/
アルス エレクトロニカ フェスティバル2021
「アルスエレクトロニカ・フェスティバル」は、芸術・先端技術・文化の祭典で、メディアアートに関するイベントとしては、世界最大級の規模を誇ります。令和3年度は“A New Digital Deal”をテーマに、オーストリア・リンツのリアルな会場と、世界80以上の都市のオンライン企画とのハイブリッドで行われました。各々の企画は「Garden(ガーデン)」と呼ばれ、東京のサテライトである「Garden TOKYO」特設サイトは、日本のアーティストやクリエイターの活動を紹介する場所として開設されました。
「Garden TOKYO」の企画内容としては、メディア芸術祭の受賞作品をはじめとした作品やメディアアーティスト・関係者によるトーク等のさまざまなコンテンツをオンラインでご紹介しました。ライブ・パフォーマンスやトークイベントはオンラインで生配信、また、一部の作品・企画はアルスエレクトロニカの会場にて展示を行いました。
※evalaによる受賞記念ライブ・パフォーマンスが好評につき、期間限定(2021年12月20日(月)8:00〜2022年1月11日(月)8:00〔日本時間〕)で特別に再配信します。
https://jmaf-promote.jp/art2021/evala/
●令和3年度企画テーマ
The Power of the Unseen(ザ・パワー・オブ・ジ・アンシーン/目に見えぬ力)
Time, Sound, Resonance, Ecosystems, Social Bodies, Bonds and Life
技術が世界や社会を覆い、人々の認知や行動を基底する時代。人が技術を使いこなす時代から、技術が成熟に至ることなく、技術同士が互いに作用し加速的に変化する環境の中で、技術との距離感がつかめないまま、生命体としての私たちは人として生きることの意味を問われている。
今、目にできないものに現代文明は揺り動かされ、例えば、画一化されすぎた社会システムは多様性や機動力に欠けることを、効率を追求した過密化した都市が脆弱であることを、今は誰もが当事者のひとりとして自覚している。そこに観戦者はない(No Spectators)。“Digital New Deal”の新しい出発の時がきたようだ。
時、音、共鳴、生態系、社会的身体、関係性、そして生命など、これまで目にできなかったものの力はまた、私たちの本来もっていた認知力に新しい感覚をもたらした。世界を体で知覚し、知恵を授かり、生きる勇気が生まれ、人の生命として変わらぬ部分を知覚でき、新しい条件のもとで私たちは、これからの世界そのものを再定義する時が到来したことを知る。(一部抜粋)
企画ディレクター:戸村朝子(ソニーグループ株式会社)
企画テーマ全文を読む(英語)
https://jmaf-promote.jp/art2021/curatorial_theme/
●メディア芸術海外展開事業アート&エンターテインメント部門特設サイト(英語)
令和3年度:https://jmaf-promote.jp/art2021/
令和2年度:https://tokyogarden.jmaf-promote.jp/
第27回マンガバルセロナ
スペイン・バルセロナで開催されるスペイン最大のマンガフェスティバル「マンガバルセロナ」(2021年10月29日〜11月1日)は、2年ぶりにオンサイトでも開催されました(会場:フィラ バルセロナ モンジュイック)。本事業ではオンラインでの出展をし、10月29日(木)正午(日本時間)にフェスティバルとの連携特設サイトを公開しました。
「MANGA, TIES AND BONDS」(マンガ、タイズ アンド ボンズ)を企画テーマに、特設サイト(スペイン語・英語)では「第24回文化庁メディア芸術祭」マンガ部門大賞受賞の羽海野チカ『3月のライオン』の特集展示と、企画テーマの下、企画ディレクターが選んだ7作品を紹介しました。また、オンラインイベントとして、特設サイトで作品を紹介したマンガ家によるトークセッション等を実施しました。
●令和3年度企画テーマ
MANGA, TIES AND BONDS(マンガ、タイズ アンド ボンズ)
日本のマンガは、あらゆる種類のテーマに触れた、驚くべき物語の数々を提供しており、エンターテインメントであると同時に、やる気を起こさせたり、感情を揺さぶったり、場合によっては人生を変える場合もある。今回の展覧会では、より良い世界を作るために重要な人と人とのつながりや絆に関連した優れたマンガ作品を、人との関係のあり方が変わってしまったコロナ禍の今だからこそ紹介したい。(一部抜粋)
企画ディレクター:マルク・ベルナベ(翻訳家、通訳、マンガ研究家)
企画テーマ全文を読む(英語)
https://jmaf-promote.jp/manga2021/en/curatorial_theme/
●メディア芸術海外展開事業マンガ部門特設サイト(英語/スペイン語)
令和3年度:https://jmaf-promote.jp/manga2021/en/
令和2年度:https://jmaf-promote.jp/en/manga/
メディア芸術海外展開事業オンラインイベントの紹介
令和2年度、令和3年度にオンライン出展した「アヌシー国際アニメーション映画祭」(フランス)、「アルスエレクトロニカ フェスティバル」(オーストリア)、「マンガバルセロナ」(スペイン)では、同フェスティバルと関連したオンラインイベントも実施しました。
日本のエンターテインメント界を牽引する作家や専門家らによる貴重なトークやイベントのアーカイブ映像を、本事業のYouTubeチャンネルにてご視聴いただけます。
メディア芸術海外展開事業YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCWqq80svF3J8uX23Mj9W--g
●メディア芸術海外展開事業ウェブサイト
https://jmaf-promote.jp/
●メディア芸術海外展開事業SNS
Facebook: https://www.facebook.com/JMAFoverseasPR
Instagram: https://www.instagram.com/jmafoverseaspr/
Twitter: https://twitter.com/JMAFoverseasPR
YouTube: https://www.youtube.com/channel/UCWqq80svF3J8uX23Mj9W--g
[お問い合わせ先]
「メディア芸術海外展開事業」事務局
特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)
映像事業部:長澤、田吹
e-mail: jmaf@vipo.or.jp
※URLは2021年12月6日にリンクを確認済み
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- 「第24回文化庁メディア芸術祭受賞作品展」レポート2021年11月2日 更新