学校法人 日本教育財団が運営する東京モード学園・HAL東京・首都医校が合同で「未来創造展2017」を1月25日に国立代々木第一体育館で開催し、「なでしこ新時代」をテーマとした合計82点が展示・発表された。HAL大阪学生チームのHTC Vive向けゲームも特別出展されるなど、コンピュータ関連ではVR作品の出展増加が特徴的だった。

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会場の代々木第一体育館(手前側がデジタル系ブース)

未来創造展は東京・大阪・名古屋地区で年1回開催されているもので、東京会場では会場中央に設置されたメインステージを挟んで、ファッションとデジタル系の出展ブースが左右に並んだ。デジタル系の出展ではHAL東京の4年生部門と2年生部門で、それぞれ最上級生の作品が出展され、学生がさまざまなやり方でアピールをしていた。

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さまざまなデザインの服飾がならび、華やかなファッション系ブース

展示内容は大半がPCやスマートフォン向けのコンテンツだったが、中にはHTC ViveやGear VRむけのVRコンテンツも見られた。もっともHALでは東京・大阪・名古屋ともにVRコンテンツ開発の授業はカリキュラムに含めておらず、今回は学生たちが自主的に勉強を行い、作品制作を行った形だが、2018年度よりVR・3Dゲームプログラマー専攻を新設するとのこと。

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『アマーメイド』ブース

中でも目をひいたのは女性レスキュー隊員となって難破船から生存者を救出する作品「海の平和と人命を守る新世代女性レスキュー隊『アマーメイド』」だ。テーマパークの体験型アトラクションがコンセプトで、プレイヤーはHTC Viveを装着し、ヘッドフォンから流れる音声の指示に従って、救助活動を行っていく。

潜水艇のハッチを開け、水中バイクで難破船に向かい、要救助者を救出した後に海中洞窟へと移動。襲ってくる鮫を水中銃で撃退するアクション要素もあるなど、盛りだくさんの内容だ。HTC Viveはチームメンバーの一人が自費で購入し、9名のメンバーが5ヶ月(企画3ヶ月+開発2ヶ月)で仕上げた。

チームリーダーの今木世実君は「消防庁で女性のレスキュー隊員が活躍していることや、建設会社で海中都市構想が計画されていることがヒントになった」と語った。VR空間内で下を向くと女性の肢体が表示されるなど、女性隊員という点にも配慮したという。なおバランスWiiボードでの移動も組み込んだが、当日は電波状況が悪くコントローラでの移動に切り替えている。

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参考出展された「HIDE AND SEEK」

会場の隅ではHAL大阪の3年生チームが開発したHTC Vive向けゲーム「HIDE AND SEEK」も参考出展されていた。城を守るタワーディフェンスゲームで、周囲からパラシュートで降下してくる敵兵に対して、城の塔に弓兵を配置しながら撃退していく。敵軍の最後には巨大ボスも登場し、城の耐久度がゼロになるとゲームオーバーだ。

HAL東京で教鞭をとる土居秀頼氏は「学生向けゲームコンテストへの応募作品として制作された。テストプレイを重ねて遊びやすさの改善につなげるため、東京会場でも出展させてもらった。おかげさまで、他の会場でも高評価をいただいている」と語った。また今後、VRゲームの開発についても授業で取り組んでいきたいと述べた。

学校の授業で扱われていないにもかかわらず、学生が自分たちの力でVRゲームの制作展示にこぎつけた背景には、ゲームエンジンやツールの進化で、ゲーム制作の敷居が格段に下がった点がある。実際にゲームジャムやハッカソンでは、VRゲーム開発における知見で、学生が教師やプロのゲーム開発者を上回る例も見られる。

教育機関に求められることは、学生が社会で活躍する上で必要となる知識や技術を学ばせると共に、自ら学びつづける姿勢を習得させる点にある。特にゲーム業界のように、技術の進化が激しい分野ではこの点が欠かせない。技術の進化がカリキュラム編成を凌駕する中で、人材教育のあり方がますます問われる社会になりそうだ。

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