埼玉県主催、埼玉県教育委員会・川口市・川口市教育委員会後援、株式会社デジタルSKIPステーション企画によるゲーム展示イベント、「あそぶ!ゲーム展 ステージ2〜ゲームセンターVSファミコン〜」が行われている「SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ 映像ミュージアム」において、トークイベント「ゲームサウンドクリエイターの仕事」が2月18日(土)に開催された。
「ゲームサウンドクリエイターの仕事」は、「あそぶ!ゲーム展 ステージ2」の会場内に展示されたレトロゲームなど、これまで長年にわたり数多くのゲームサウンドを作曲したゲストを招いたトークイベント。ゲストには、元ナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)の慶野由利子氏と小沢純子氏、タイトーの石川勝久氏、セガ・インタラクティブのHiro(川口博史)氏の4名が登壇し、司会は「遊ぶ!ゲーム展」会場内の音楽コーナーを監修した、ゲーム音楽史研究家のhally氏が担当。トークはhally氏の進行のもと、元ナムコの慶野・小沢両氏、石川氏、Hiro氏の順で、出身メーカー別にhally氏が話を聞くパートと、ゲストが一堂に会したクロストークの合計4部に分けて行われた。
元ナムコの慶野・小沢両氏からは、1981年にナムコが発売したアーケードゲーム「ボスコニアン」の基板写真や、サウンドの波形図などを例に挙げ、同社は当時から波形メモリ音源を使用してサウンドを制作していたことを解説。ハードの開発者が、基板に優れた性能の音源やサウンドのための回路を作ってくれたので、これに負けないようサウンド開発者も頑張ろうと、お互い仕事に励んだ結果が後の評価につながったことを説明した。
タイトーの石川氏は、曲ではなくSE(効果音)の制作を専門に行うサウンドコンポーザーで、入社する前からゲームミュージックのアレンジをするサークル活動を行うなど、昔から大のゲームミュージック好きだった。
石川氏によると、アーケードゲームのクレジット音は、プレイヤーがそれを最初に聞くことで、ゲームの世界に入り込む第一歩になるのがポイントであると力説。さらに投入したコインの枚数がわかりやすくなるよう、アタック部分を印象付けて鳴った回数がはっきり伝わるように制作していることなどを解説した。
また、同社が開発した日本初の通信カラオケ、「X-2000」で使用していた音源を用いることで、アーケードゲーム用の基板においても高性能のサウンド環境が実現できたことを説明した。
セガ・インタラクティブのHiro氏は、元々バンドが趣味であり、学生時代にマイコンで作ったオリジナルゲームのプログラムを専門誌に投稿していた経験の持ち主。昔はサウンド制作はハードの開発部署が担当していたが、やがてPSG音源などが登場し、ハードとは切り離した部門でサウンド制作ができるようになったことにより、サウンド開発専門の部署が誕生したことを説明した。さらにHiro氏は、昔のゲームミュージックは、内臓音源を使うことで一般のミュージシャンが出せない音を使用していたのがいいところではないかとも指摘した。
クロストークでは、昔から他社が作った楽曲に対してもお互いに注目、尊敬し合っていたことが話題になった。Hiro氏は、ナムコの「ニューラリーX」(※1981年発売のアーケードゲーム)のBGMがゲームミュージックに興味を持つきっかけであり、小沢氏はアタリの「マーブルマッドネス」(※1984年発売のアーケードゲーム)でFM音源を使用したことに衝撃を受け、その後セガもFM音源を使った曲を出すようになり、タイトーの「ダライアス」(※1987年発売のアーケードゲーム)もすごいなと思った、とのこと。
その他、ナムコがレースゲームの「リッジレーザー」(※1993年発売)の筐体にBOSE製のスピーカーを搭載していたことに対して、Hiro、石川両氏が驚いたと語るなど、当事者からの視点によるゲームミュージックの歴史を垣間見ることができるイベントとなっていた。
(「あそぶ!ゲーム展 ステージ2〜ゲームセンターVSファミコン〜」)
- 会期:2016年9月10日(土)〜2017年3月12日(日)
- 会場:SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ 映像ミュージアム 企画展コーナー
- 料金:大人510円、小人250円(常設展・企画展を含む)
関連リンク
▼サウンドコーナーの写真も!
「あそぶ!ゲーム展ステージ2」
http://www.skipcity.jp/vm/game2/