フランス・アングレームに設置された「マンガとイメージの国際都市」(Cité Internationale de la bande dessinée et de l‘image 、通称CIBDI)では、以前にもお伝えしたように、所蔵する貴重資料をデジタル・アーカイブし、自館のウェブ・サイトとフランス国立図書館のデジタル・ポータル・サイトGallicaで一般に公開している。
今回新たにデジタル化されたのは、ルドルフ・テプフェール(1799-1846)の5作品と、その父であるアダム・テプフェール(1799-1846)のカリカチュール集1冊。ルドルフ・テプフェールは世界的に近代マンガの始祖と見做されることが多いスイスの作家である。
テプフェールの作品はすでにGallicaへ多数登録されており、今回のデジタル化はそれを補完するものとして位置づけられる。
実際にGallicaの検索ページで調べてみると、フランス国立図書館が所蔵する資料と、CIBDI所蔵の資料が両方ヒットするようになっている。
また、CIBDIのホームページでも専用ページが設けられており、Gallica登録資料分はGallicaの閲覧ウインドウが直接埋め込まれ、そのまま読めるようになっている。
テプフェールの作品は刷り部数が物理的に制限される石版画という手法で印刷されており、版違いの資料が多い。また海賊版も何度か出版されている。それらの資料を、全てではないにせよ、ネット上で閲覧できる利点は大きいと言えるだろう。
テプフェールは日本のマンガ研究でも最近注目されるようになってきた。そのマンガ作品『M.ヴィユ・ボワ』とマンガ理論書『観相学試論』はすでに日本語へ翻訳されている。マンガと日本マンガの関係、そしてマンガそのものを見直すため、今一度テプフェールの作品世界を覗いてみてはいかがだろうか。
CIBDI「テプフェール・コレクション」
http://collections.citebd.org/topffer/_app/recherche_alpha_cles.php