ドイツのベルリン自由大学に付属するジョン・F・ケネディ研究所が、所蔵するアメリカ・マンガの資料を拡充・公開したことを発表した。
コレクションの拡大は、ひとつにはアインシュタイン財団からの資金援助に負っている。2013年から始められたこの援助によって、500点以上の基礎的な文献資料が集められた。また、もうひとつには、アメリカ合衆国のミシガン州立大学との寄贈協定が実際に実行された結果でもある。ミシガン州立大学図書館には、ラッセル・ナイ氏(1913-1993)とともにポピュラー・カルチャー学会を立ちあげたレイ・ブラウン氏(1922-2009)の名を冠したコレクションが収められており、全米のなかでも屈指のコレクションをほこるマンガ・アーカイブ施設として有名だ。ジョン・F・ケネディ研究所は、同施設から重複した資料を受け取る協定を結んでおり、2013年から段階的に送られてきた資料の中には1949年から2001年までにいたるまでのアメリカのスーパーヒーロー・コミックなどが含まれているそうだ。なお、ジョン・F・ケネディ研究所の収蔵資料はOPACから検索できるようになっているので、分類番号の「741.5*」や「Z/741.5*」を入れて検索すれば、現在公開されているコレクションの概略が把握できる。
ドイツで重要なマンガ・アーカイブとしては、フランクフルト大学(ゲーテ大学)の児童文学研究所や、ハンブルク大学グラフィック文学研究センターの「マンガ文庫」、あるいはベルリンにある私設のマンガ図書館「レナーテ」などがよく知られていた。これらのアーカイブと比べれば、ジョン・F・ケネディ研究所のマンガ関連所蔵資料は、アメリカ合衆国という外国の、しかも古いものだけでなく現在進行形のものも含まれている点が、その特徴として挙げられるだろう。なお、同研究所からは、以前にメディア芸術カレントコンテンツでもお伝えした、デジタル・アーカイブ・パッケージ「アンダーグラウンド・アンド・インディペンデント・コミックス」も検索できるようになっており、ドイツ国内でアメリカのマンガを研究するための有力な一拠点として、今後さらにその動向が注目される。
ベルリン自由大学のジョン・F・ケネディ研究所が北米マンガのコレクションを拡充
http://www.jfki.fu-berlin.de/library/holdings/comics/index.html