2014年12月13日、14日に、秋葉原富士ソフトアキバプラザにて、ハードウェアコンテスト「GUGEN2014」の展示会・授賞式が開催された。GUGENは、それまでの電子工作コンテストから2013年に改名して始まった活動で、「考える。つくる。かたちにする。」というキャッチフレーズを掲げ、身近な課題を抽出し、ものづくりによって解決するという「未来のふつう」となるハードウェアの開発を奨励している。
今回のコンテストでは126件の応募を集めた。応募作品は、締め切り直後から全てウェブで閲覧できるようになっており、展示会開催以前にもウェブ上で「ほしいね!」ボタンを押したり、コメントを投稿することで、各プロジェクトに対してフィードバックを届けることができる。さらに、開発者の募集や、ビジネス化へのアドバイス募集など、応募者も現在のプロジェクトのさらなるアップデートを図るために人材や資金などの支援を募ることができるシステムも整えられている。
2日間の展示会では、これらのプロジェクトが一堂に会場に並べられたほか、1日目に観客投票と審査員による採点を加味して、10件の大賞・優秀賞候補が選ばれた。2日目には、展示に加えて、これらの候補のプレゼンテーションが行われ、最終的にスポンサーによる各賞と、大賞・優秀賞が表彰された。
大賞に輝いたのは、石井健太郎氏らによる「おしゃぶりセンサ」。赤ちゃんが吸うおしゃぶりの中にセンサを埋め込み、吸っている強度などを計測し、無線でスマートフォンなどに送ることができる。赤ちゃんが寝ているかどうかなどを知らせる子育て支援などへの展開のほか、口だけで操作できる入力装置などへの応用も考えられる。このほか優秀賞として、膝のリハビリ装具に取り付けて足の動きをアシスト/計測する小型装置「Raplus」、スマートフォンに取り付けることで身の回りのモノの長さを簡易に計測可能にするデバイス「コロコロプラグ」が高い評価を集めた。
休日の電子工作から、ビジネス展開を視野に入れた本格的なプロジェクトまで参加者の動機には幅が見られたものの、身近な課題からスタートし、形のあるプロダクトやサービスまで仕上げるというコンテストのフォーマットがうまく設定されていたこともあり、上記の受賞プロジェクト以外にも完成度の高い作品が数多く揃った。また、上で述べた通り、専門家によるフィードバック、ウェブ上でのフィードバック、人材や資金支援に向けた人脈の形成など、他のコンペ等に比べても、コンテストに参加することによって参加者に還元されるものが直接的で大きいという点も特徴的であり、今回のコンテスト以外にも年間を通して、アイディアソン・ハッカソン、さらには開発援助やマーケティング支援など製品化を下支えするプログラムを展開している。これからのものづくりや表現活動の支援の新たな形として生まれ変わった好例であり、ここから生まれる技術・ビジネスなど今後のさらなる展開が注目である。
GUGEN
http://gugen.jp/