2011年11月11日と12日、LABoral Centro de Arte y Creación Industrial
(Art and Industrial Creation Centre、ラボラル アート&インダストリアル・クリエイション・センター、スペイン)で、ワークショップ「アーカイブスとメディア・ライブラリーズ」が、ガブリエル・ヴァネガス氏、ジョ・アナ・モーフィン氏、ヴァニナ・ホフマン氏によって開催。ワークショップの対象者はキュレーター、出版者、ソフトウェア制作者などアーカイブや、アートと科学技術の収れんに興味を持つドキュメンテーションの専門家だ。
また、LABoralが運営する「メディア・ライブラリーズ(Mediateca_Archivo)」は、アーティスト、建築家、デザイナー、映画監督、音楽家など文化的活動をする人々に関する展覧会カタログ等の書誌資料や論文、ドキュメンテーション、フィルム、ビデオテープ、DVDを収集、保管している。館内では、これらの資料の他、コンピューターゲームやアート、インダストリアル・クリエイションに関する貴重なウェブサイトのリンクを無料で閲覧することができる。メディア・ライブラリーは、現代の表現形態の保存、アーカイブ、ドキュメンテーションを扱うための実験的な手法を模索し、その手段としての方法論と形式について継続的な対話がおこなわれる場となることを目指している。
本ワークショップは、不安定で急速に老朽化する特徴を持つタイムベースド・メディアをどのように扱うかを熟考することを目的にした、ドキュメンテーションおよびアーカイビングに関するオルタナティブな実践である。また、変わりやすいテクノロジーに基づいたアーティスティックなプロジェクトを読み取る試みでもある。
現在、文化施設が直面するテクノロジーを利用した作品の保存と将来の再発表(展示、上映、公演など)の問題に対して、ポリシーや手法を開発する必要があるとして、物理的な作品の保存に加え、作品の物理的およびコンセプチャルな特徴を示すドキュメンテーションは作品の保存計画には不可欠だと指摘。同時に、これらの問題はテクニカルな観点だけではなく、集合的な記憶の構築に関することであることも言及する。
このワークショップのリーダーである、ガブリエル・ヴァネガス氏(コロンビア出身、ケルン在住)は、2011年にKunsthochschule für Medien Köln(KHM、ドイツ)の大学院を卒業し、メディアアートの経験をアーカイブするワークショップ「Botaniq」をZKM(ドイツ)、アーツ・サンタ・モニカ(スペイン)、ISEA2011などでおこなってきた。ウェブサイトではこれまでのワークショップの成果やドキュメンテーションを見ることができる。興味深い実践のひとつに、クリスタ・ソムラー&ロラン・ミニョノーの作品《A-Volve》(1994年)に関して、テキストやコラージュなどでドキュメントを制作したものがある。これは、ラテンアメリカにおける植物や生物の成長を手描きで記録する古典的な手法を応用したものであるという。
スペイン語翻訳協力:岡田理絵(山口情報芸術センターYCAM)
LABoral ワークショップ「アーカイブスとメディア・ライブラリーズ」
http://www.laboralcentrodearte.org/en/actividades/archivo-y-mediatecas?set_language=en