展覧会概要

 2017年2月18日(土)から4月16日(日)まで、東京ステーションギャラリーにて、企画展「パロディ、二重の声 ――日本の一九七〇年代前後左右」が開催される。

 「パロディ」という技術ないし形式について、とりわけ「日本の一九七〇年代前後左右」に焦点を絞って、当時の視覚文化を手掛りに再検討する本展覧会では、当時のメジャーな作家からマイナーな作家まで、絵画とマンガとグラフィックを中心に、ほかではなかなかお目にかかれないマンガ原稿やテレビ映像や裁判記録などの貴重なアーカイヴも含め、総数約300点の作品・資料が展示される。

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© 横尾忠則《POPでTOPを!》1964年頃、作家蔵
亀倉雄策による1964年東京オリンピックのポスターの構図を土台に、登場人物のひとりひとりもまたそれぞれ「パロディ」になっている。

 「パロディ」は、1960年代中頃からアーティストたちによって頻繁に実践されだし、1970年代に入るとテレビや雑誌といったメディアを通じて大衆文化としても流行した。それは、前衛が後退しサブカルチャーが開花する時期でもあり、また、反抗と闘争の1960年代から軽やかな知略の1970年代へ、あるいはモダンからポストモダンへという、戦後日本文化の転換期でもあった。本展覧会は、「パロディ」を、まさにそのような時代を象徴する語として位置付ける。

 この特異な時代の象徴として、「パロディ」は、どのような場面でどのように使用されてきたのか。風刺や模倣とはどのように異なるのか。さらに、既存物の加工による表現である「パロディ」について考えることは、いわば「持たざるものの表現」を考えることでもあり、そのような観点から今日のデジタル環境におけるオリジナル/コピーをめぐる議論を根本的に考えることもまた、本展覧会の目指すところであるという。

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© 吉村益信《ブタ;Pig Lib》1994年、大分市美術館蔵
レイモン・サヴィニャックによる不気味だけどどこか可愛らしい豚肉のポスターが、「パロディ」として立体化されると、こうなる。

 「パロディ」への着目は、メディア芸術のもつ文化的・社会的な力について様々の再考をせまるに違いない。「日本の一九七〇年代前後左右」における「パロディ」の「二重の声」――あるいは傍らに重ねられた(パラ)頌詩(オード)の歌声――は、ポスト・トゥルースのメディアの時代を生きる私たちに、何をどのように語りかけてくれるだろうか。本展覧会は、メディア芸術の本質がクリティカルに、しかしそれでいてユーモラスに、問いかけられる貴重な機会となるだろう。

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© 河北秀也(AD)《独占者》、1976年、公益財団法人メトロ文化財団蔵
東京ステーションギャラリー広報によれば、「1974年から月替わりで東京の地下鉄駅構内に貼られるようになったマナーポスターは、現在でもどんな内容になるか楽しみにしているファンも多い」という。展覧会には他にも、林家三平の「すいません」ポスターなど、当時のマナーポスターが総数12点出品される。

プログラム

 会期中にはトークイベントも開催される。会田誠(2月19日(日))、南伸坊(2月26日(日))、夏目房之介(3月4日(土))、成相肇(4月9日(日))が、講師としてパロディについて講演する。
※詳細は公式ウェブサイトをご覧ください(http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201702_parody.html)。各回とも申込先着順のため、すでに満席となっている場合もございます。

開催概要

会期:2017年2月18日(土)〜4月16日(日)
会場:東京ステーションギャラリー
休館日:3月20日をのぞく月曜日、3月21日
開館時間:10:00〜18:00
※金曜日は20:00まで開館
※入館は閉館30分前まで
入館料:一般900(800)円 高校・大学生700(600)円 中学生以下無料
※( )内は20名以上の団体料金
※障がい者手帳等持参の方は100円引き(介添者1名は無料)
主催:東京ステーションギャラリー(公益財団法人東日本鉄道文化財団)
特別協力:Special Cooperation with Cappellini Point Tokyo_Team Iwakiri Products
公式ウェブサイト:http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201702_parody.html