2012年6月25日から27日まで、ロイヤルメルボルン工科大学(通称RMIT大学)にて国際アニメーション学会(Society for Animation Studies)の第24回大会が開催される。
今回の大会の総合テーマは「The Animation Machine」。このタイトルはマギル大学教授のトマス・ラマール氏の著書The Anime Machine: A Media Theory of Animation (University of Minnesota Press、2009)をもじったものとなっており、ラマール氏は基調講演を担当する5名のなかに名を連ねている。
ラマール氏の The Anime Machine は「アニメ」(日本の商業アニメーション)を理論的な視座から専門的に扱う本だが、それが「The Animation Machine」と読み替えられていることからもわかるとおり、今回の大会が取り上げるのは「アニメ」も含む広範囲の「アニメーション」となっている。
発表タイトルのリストを眺めてみても、故ノーマン・マクラレン氏などの「作家主義的」作品の考察、マンガ原作のアニメーション、コンピュータ・アニメーションなど、様々な題目が並んでいる。日本からはロボットクリエーターの高橋智隆氏(株式会社ロボ・ガレージ代表取締役)が基調講演を行うことが決まっており、今回の大会が取り上げるトピックの幅広さがうかがえる。
また、今回の大会は、2012年6月17日から24日まで開催されるメルボルン国際アニメーション映画祭とも連携しており、学会期間中に映画祭の優秀作品集など3つのプログラムの特別上映も予定されている。
国際アニメーション学会の大会に関しては、ジェイン・ピリング氏(British Animation Awards代表)が編者を担当したA Reader in Animation Studies (Indiana University Press, 1999)に過去の大会での発表がまとめられている。
なお、ラマール氏は日本にも来日する。7月5日には京都大学吉田南キャンパスで「エクスプローデッド・プロジェクション——技術的パラダイムと日本アニメ」と題された講演会が、7月7日には東京大学駒場キャンパスで表象文化論学会全国大会のシンポジウム「幾層ものレイヤーが蠢く——トマス・ラマール『アニメ・マシーン』から出発して」がそれぞれ開催され、ラマール氏の出演が予定されている。また、The Anime Machineは『アニメ・マシーン——アニメーションのメディア理論』(仮)というタイトルで、邦訳が名古屋大学出版会より近日出版予定である。
SAS2012公式ホームページ
http://www.rmit.edu.au/sas2012
メルボルン国際アニメーション映画祭
http://www.miaf.net/
表象文化論学会ホームページ
http://www.repre.org/index.php