イギリスのコミック・クリエイターを対象としたブリティッシュ・コミック賞(British Comic Awards)の設立が先日発表された。賞の発案者であるアダム・キャドウェル氏は自身も作家であり、カナダのダグ・ライト賞(Doug Wright Awards)に刺激を受けて、イギリスでも同様の賞を設ける必要性を感じたという。
この賞では、イギリスをベースに活動する作家が前年に発表した作品の中から、ベスト・コミック賞、ベスト・ブック賞、新人賞、ヤング・コミック賞など5つの賞が選ばれる。
2007年からイングランド北部にあるリーズおよびブラッドフォード周辺で開かれているソート・バブル:リーズ・コミック・アート・フェスティバル(Thought Bubble – Leeds’ Comic Art Festival、略称TBF)と連動することになっており、賞の発表および授与式はこのフェスティバル開催期間中に行われる予定だ。ちなみに2012年度は11月11日から18日にかけて開催され、最終2日間にはコミコンも開かれる。15日と16日にはコミック・フォーラム と題されたシンポジウムも開催予定。このフェスティバルは2012年に26回目を迎えるリーズ国際フィルム・フェスティバルの一部として位置づけられている。
フェスティバルには昔から賞が付きものであり、以前紹介したロンドン国際コミックフェスティバル(London International Comics Festival、通称COMICA)にも、グラフィック・ショート・ストーリー賞(Graphic Short Story Prize)が設けられている。
1977年に始められたイギリスで最も伝統あるイーグル賞は、現在のところロンドン・コミコン(London Movie Comic Media Expo、略称London MCM Expo)と連動しているが、ブリティッシュ・コミック・アート・コンヴェンション(British Comic Art Convention)、ロンドン・コミック・マート(London Comic Mart)、ユナイテッド・キングダム・コミック・アート・コンヴェンション(United Kingdom Comic Art Convention、略称UKCAC)、コミック・エキスポ(Comic Expo)などの様々なフェスティバルを渡り歩いてきた経緯がある。
イギリスにはその他にもカートゥーン・ミュージアム(The Cartoon Museum)が協賛するカートゥーン・アート協会賞(Cartoon Art Trust Awards)などが存在するが、これはいわゆる一コマ漫画を対象にしたものだ。
今回創設されたブリティッシュ・コミック賞は、対象をイギリスの作品に限ったところに特色があり、時に偉大な才能が出現するイギリスのコミック・シーンを活性化するものとして注目したい。
ブリティッシュ・コミック賞
http://britishcomicawards.com/