「アニメーション・アーティスト・イン・レジデンス東京2012-2013」の招へい者が決定した。

「アニメーション・アーティスト・イン・レジデンス東京」(略称A-AIR)は、文化庁委託事業「海外メディア芸術クリエイティブ招へい事業」として実施されるものである。海外の若手アニメーション作家3名を毎年日本に招き、日本のアニメーション関係者による指導のもと作品制作を行うほか、イベントへの出演やスタジオなどの関連施設への訪問なども行う。

A-AIRは今年度が3年目で、過去最高の43カ国、112名の応募があった。今回は、アメリカ、フィンランド、ベルギーと、これまでの2年間とは異なる国の若手作家が招へいされる。

一人目のケイレブ・ウッド氏は1988年生まれのアメリカの作家で、A-AIR初の北米からの招へい者となる。ウッド氏は、デザインの分野に関して世界有数のロードアイランドデザイン大学のアニメーション学科出身で、『リトル・ワイルド』(2010)など、かわいらしい動物キャラクターと巧みなアニメーション技術に優れた作品を作っている。

二人目のエッリ・ヴオリネン氏は1985年生まれのフィンランドの作家である。独特な発想のアニメーションで映画祭でも常に存在感を放つトゥルク・アーツ・アカデミーのアニメーション専攻で学ぶヴオリネン氏は、グループ制作で完成させた人形アニメーション『ベニーニ』(2009)と愛する対象を舐める人たちを描く平面アニメーション『タングリング』(2010)で世界的に高い評価を受けている。特に『タングリング』は女性作家専門の映画祭トリッキーウーマンのグランプリやチェコのアニフェストで最優秀学生作品賞を受賞するなどしている。

三人目のエマ・ドゥ・スワーフ氏は1985年生まれのベルギーの人形アニメーション作家である。ベルギーの名門KASKで学んだドゥ・スワーフ氏は、卒業制作の『ソフト・プランツ』(2008)以来、毛糸を使ったフワフワとした造形の人形を用いた作品が高く評価を受けている。最新作『オー、ウィリー』(マーク・ジェイムズ・ロエルズ氏と共同監督)は、ヌーディスト・コミュニティに暮らす母親との久々の再会とその死をきっかけとして中年の主人公がおかしな出来事に巻き込まれていく物語で、「ヨーロッパのアニメーション版オスカー」と呼ばれるカートゥーン・ドールやザグレブ国際アニメーション映画祭でグランプリを獲得するなど、すでに40を超える賞を獲得しており、今年を代表するアニメーション作品となっている。

3年目となるA-AIRは、着実に成果を出しつつある。1年目の招へい者ジョゼフ・ピアース氏(イギリス)がA-AIRを通じて制作した作品『パブ』(2012)は、ロサンゼルス映画祭で最優秀実験短編作品賞を獲得、同じく1年目の招へい者チェン・シー氏(中国)の『穀物配給切符』(2012)もザグレブでコンペティション入選するなど結果を残している。

今年度の招へい者3名は、来年1月上旬から3月中旬までの70日間、日本に滞在する予定である。

アニメーション・アーティスト・イン・レジデンス東京2012-2013招へい者決定のお知らせ
http://japic.jp/2012/11/平成24年度海外メディア芸術クリエイター招へい事/