テクノロジーを使ったアートやデザインなどを領域横断的にとらえ、レジデンス・プログラム、研究、ワークショップ、セミナーなどを行う非営利組織バルタン研究所(Baltan Laboratories)は、ファン・アッベ市立美術館(the Van Abbemuseum、共にアイントホーフェン、オランダ)と共同でワーキング・カンファレンス「ボーン・デジタル・アートの収集と発表─翻訳と(歴史的)知識の問題(Collecting and Presenting Born-digital Art: A Matter of Translation and (Historical) Knowledge)」を2012年12月14日と15日に開催する。同カンファレンスは、アンジェラ・プロウマン氏(Angela Plohman、バルタン研究所のディレクター)とアネット・デッカー氏(Annet Dekker、キュレーター、Aaaan.netディレクター)によって構想された。

同カンファレンスは、ウェブサイトやソーシャルメディアを通した美術館の活動やコレクションの紹介が活発になり、ニューメディアを使った作品が珍しくないにもかかわらず、「なぜ、デジタル・アートの美術館コレクションがほとんどないのか?」という問いから始まる。そのような問題に取り組むためにも、メディアアートの円滑なプロデュース/発表/保存に向けて、その歴史と素材に対する理解が不可欠だとする。また、メディアアートに関する組織が現代美術やテクノロジー・カルチャーの周辺で新たなアイデアや批判的思考を促進する役割が求められている一方で、現代美術界の固有な構造的/経済的システムに関する知識が足りないことを指摘する。2日間のカンファレンスでは、美術館、ギャラリー、メディア研究所に所属する専門家による横断的な対話を通して、未成熟なメディアアートが抱えるさまざまな問題を解決する糸口を探ろうとするものだ。

カンファレンスは、主に5つのテーマに分けて行われる。

1)歴史の記述、または異なる未来の企て(Writing histories, or staging different future)

2)美学─歴史からプレゼンテーション・モデルまで(Aesthetics: From Histories to Presentation Model)

3)展示─制作と発表を含む(Exhibiting: including production and presentation)

4)収集─契約、登録、保存について(Collecting: about contract, registration and preservation)

5)コラボレーションの進化、または組織構造の開拓(Advancing collaboration, or developing organizational structures)

また、関連イベントとして、ニール・カミングス氏(Neil Cummings、英国)とマリーシャ・レバンドフスカ氏(Marysia Lewandowska、ポーランド)が制作した、アート・マーケットが崩壊した架空の2058年において、ストックホルム近代美術館v3.0のディレクターがアーキビストと過去を振り返りながら対話する映像作品『Museum Futures: Distributed』(2008年)の上映(*YouTubeでプレビューを公開)や、CD-ROMや旧式のハードウェアやOSの保存に関するワークショップ「CD-ROM Hackathon by Ben Fino-Radin」が開催される予定。

バルタン研究所 ワーキング・カンファレンス「ボーン・デジタル・アートの収集と発表」を開催
http://www.baltanlaboratories.org/borndigital/