「ジャーナル・オブ・グラフィック・ノヴェルズ・アンド・コミックス」(Journal of Graphic Novels and Comics)はラウトレッジ社から出版されているマンガ専門の査読付き学術雑誌。2010年から年2回のペースで刊行されている。
英語による紙媒体のマンガ専門学術誌としては、1999年に創刊された「国際コミック・アート・ジャーナル」(International Journal of Comic Art)があったが、2010年前後に3冊の学術誌が新たに創刊された。
2008年にリヴァプール大学出版局から出たのが「ヨーロピアン・コミック・アート」(European Comic Art)。そして2010年に刊行されたのが「スタディーズ・イン・コミックス」(Studies in Comics)と「ジャーナル・オブ・グラフィック・ノヴェルズ・アンド・コミックス」だった。3冊ともイギリスの大学が中心となって発刊されているのは興味深い。
このうち、「ジャーナル・オブ・グラフィック・ノヴェルズ・アンド・コミックス」が2014年前期に刊行する「マンガ、絵本、そして子ども」(Comics, Picturebooks and Childhood)特集号のため、発表論文の募集を行っている。締め切りは2013年3月31日。
マンガと絵本は共にしばしば子どもと結びつけられてきた表現ジャンルだ。しかしながら、両者を関連づけた研究はそれほど多くない。
今回の特集はその仕組み、歴史、作者、受容者などについてそれぞれの研究成果を参照しながら、両者の接点に注目しようとするもの。
たとえば表現の仕組みについて、絵本に関しては『絵本の力学』が、マンガに関しては『マンガのシステム』が、それぞれの分野における相互参照すべき重要な研究成果として挙げられている。
提案されている論文トピックとしては、▽両方の分野で活躍する作家▽マンガに影響を受けた絵本作家▽子ども向けマンガと子どもという概念▽マンガ、絵本、子どもを巡る論争、などがある。
今回はアメリカ・イギリスおよびヨーロッパだけでなく、アジア・オーストラリアの視覚文化に注目することも予告されており、日本のマンガについての論文も募集されている。
詳しくは募集要項を参照してほしい。
「ジャーナル・オブ・グラフィック・ノヴェルズ・アンド・コミックス」論文募集要項
http://crytc.uwinnipeg.ca/portal/node/941