東京・阿佐ヶ谷のアート・アニメーションのちいさな学校劇場にて、2011年11月7日より「バルト海の奇妙な果実」と題されたエストニア、ラトビア、リトアニアのアニメーション特集が開催されている。

今回の特集で大きく取り上げられているのは日本でも人気の高いエストニアの作品である。同国の人形アニメーションの始祖エリベルト・トゥガノフとヘイノ・パルスのドキュメンタリー『時の王たち』(2008年)、その次の世代にあたるエストニアの巨匠プリート・パルン氏とマッティ・キュット氏の作品上映、「ポスト・パルン」世代の筆頭プリート・テンダー氏、ウロ・ピッコフ氏、カスパール・ヤンシス氏の特集など、エストニア・アニメーションの三世代の達成が網羅されている。

作家特集とは異なる枠組みで組まれたプログラムもあり、「論理的に見るアニメーション」では、ウロ・ピッコフ氏が2010年に上梓した自身初の理論書『Animasophy: Theoretical Writings on the Animated Film』(Estonian Academy of the Arts, 2010)にてケーススタディとして取り上げたエストニア作品が上映される。また、エストニアの国民的アニメーションシリーズ「ロッテ」の一作『発明村のロッテ』(2006年)は、ロシアやチェコなど旧社会主義圏が非商業作品の製作に苦労するなか、エストニアにおいて国家からの支援と並んで短編インディペンデント作品製作の伝統を支えるひとつの柱として注目できる。

ラトビアとリトアニアのアニメーションは、エストニアに比べると知られていない。ラトビアのプログラムでは、広島をはじめとする数々の映画祭で評価されているウラディミール・レスチョフ氏が、リトアニアでは同国のアニメーション・シーンにおいて教育・映画祭なども含め幅広く活躍するユーラテ・レイカイテ氏が、それぞれ大きく取り上げられる。

「バルト海の奇妙な果実」は第一期が11月16日で終了したが、12月3日から16日まで第二期の上映がある。

バルト海の奇妙な果実 公式ホームページ

http://www.laputa-jp.com/school/balt_screening/