吉浦康裕監督の劇場映画『イヴの時間』が2013年5月23日より、米国のクラウドファンディングサイト「Kickstarter」で英語版Blu-ray Disc制作のための資金を募った。これが短時間で当初の目標額をクリアしたため、集まった資金に応じる形で、プロジェクトの目標も英字幕制作に加え吹き替え制作、さらにムック英訳とスケールアップ。そのいずれも達成して、申込み期限を終えた。
日本アニメの北米市場は、一定のファンはいるものの、違法なファンサブ(ファンによる非公式字幕)が浸透してしまっているため、アニメを売るのは難しいと言われる状況が続いてきた。それだけに今回の多額の寄付はそうした状況に一石を投じる結果と言える。
『イヴの時間』は2008年に、まずインターネットの無料配信でスタート。その後2010年3月には、全6話を再編集した『イヴの時間 劇場版』が公開され、単館上映としては大ヒットを記録した。そして今回のKickstarterでの成果により、北米にも同作の熱心なファンがいることが明らかになった。
Kickstarterは、多数の支援者から少額の資金を集め大きな資金として、プロジェクトを実行するクラウドファンディングサイトの大手。日本のアニメでは、湯浅政明監督の新作短編アニメ『キックハート』が制作資金20万ドルの調達の成功している。
北米市場については、2009年から日本アニメの有料配信を始めた配信大手クランチロールが、2013年3月には有料会員20万人を越えている。Kickstarterの事例と併せて考えると、北米のアニメ流通は、従来のパッケージ販売以外のところに、新たな回路が生まれつつあるようだ。
Kickstarter 『イヴの時間』英語版BDプロジェクト
http://www.kickstarter.com/projects/693293489/time-of-eve-the-movie-on-blu-ray