2009年度から東京藝術大学大学院映像研究科が主催している「コンテンポラリーアニメーション入門」が今年も開催される。

「コンテンポラリーアニメーション入門」は、同大学院アニメーション学科教授の山村浩二氏のコーディネートのもと、現代の世界のアニメーション・シーンにおいて重要視されている短編作家を紹介するイベントで、2010年度からは海外から実際に作家を招聘し、一般向けの上映とトークイベントを行っている。これまでにプリート&オルガ・パルン監督(エストニア)、キャロライン・リーフ監督(アメリカ)、イーゴリ・コヴァリョフ監督(ウクライナ)などといった国際的に著名な作家のほか、イギリス・チャンネル4で長年にわたってアニメーションの製作委託や番組選定に携わったクレア・キッソン氏(イギリス)などアニメーションに関わる広い人選で、海外作品の様々な面を紹介してきた。

2013年度の「コンテンポラリーアニメーション入門」では、イギリスからルース・リングフォード監督、スイスからジョルジュ・シュヴィツゲベル監督が招聘される。

2009年から数えて第13回目のゲスト、ルース・リングフォード監督は、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートのアニメーション学科を卒業したのち、コンピュータ上でのドローイングを主に用いた、現代社会における欲望や女性の問題などを取り上げる社会性の強い作品に特徴がある作家だ。代表作は『Death and Mother(死神と母)』(1997年)などで、現在はハーバード大学でアニメーション制作を教えつつ作品制作を続けている。

第14回目のゲストはスイスを代表する作家のジュルジュ・シュヴィツゲベル監督だ。1970年代よりコンスタントに作品発表を続け、代表作には『78回転』(1985年)などがある。セル上に油絵具を用いて作画し、クラシックを中心とした音楽にあわせてメタモルフォーゼを展開させる作風は唯一無比で、日本においてもファンは多い。

第15回講座は他の2回とは趣向を変え、日本の状況についての紹介が行われる。「現代日本のインディペンデント事情」というタイトルのもと、講師として山村浩二氏が参加するほか、東京藝術大学大学院映像研究科出身のアニメーション作家の和田淳監督と、マンガ家で神戸芸術工科大学教授のしりあがり寿氏がゲストとして招かれ、日本の短編アニメーション制作をめぐる現状についてのトークと関連作品の上映がある。

第13回講座は7月27日にすでに終了してしまったが、第14回(9月29日)、第15日(11月2日)については入場無料・事前申込不要で参加できる。なお、今年度からはウェブ上でのストリーミング中継も行われている。

同講座の詳細については、公式ホームページを参照のこと。

「コンテンポラリーアニメーション入門」公式ホームページ

http://animation.geidai.ac.jp/ca/index.html