2013年9月6日、スタジオジブリの宮崎駿監督が引退会見を行った。この会見は、9月1日に、ヴェネチア国際映画祭の会見で星野康二社長が発表した内容を受けて開かれたものである。会見には、宮崎監督のほか鈴木敏夫プロデューサーが出席、さらに海外メディアを含め、600人を超えるマスコミが詰めかけた。
会見では「公式引退の辞」が配られた。そこには「長編アニメーションではなくとも、やってみたいことや試したいことがいろいろあります。やらなければと思っていること――例えばジブリ美術館の展示――も課題は山ほどあります」などと、引退を決意した理由とこれからやりたいことなどについて書かれている。会見はこの「引退の辞」をもとに進行した。
宮崎監督は、引退理由として体力の問題を強調した。宮崎監督の映画作りは、絵コンテだけにとどまらず、レイアウトや原画にまで手を入れる過酷なスタイルだが「長編映画の制作は、年を追うごとに時間がかかるようになっている。人に任せる方法は自分のやりかたでは難しい」ということで、『風立ちぬ』の完成後、引退する意思を鈴木プロデューサーに伝えた。今後は自らのアトリエに通いながら、まずはジブリ美術館の展示に手を着けたいという。
スタジオジブリの今後については、鈴木プロデューサーが、2013年11月公開の『かぐや姫の物語』に続き、来年公開の映画を準備中と説明。監督が誰かは明らかにしなかったが、『借りぐらしのアリエッティ』(2010年)の米林宏昌監督、『コクリコ坂から』(2011年)の宮崎吾朗監督のどちらかか、あるいはまた新たな監督なのか、その人選を含めて、スタジオジブリの今後を占う映画といえそうだ。