出版統計資料は各国のマンガ状況を比較するために欠かせないデータだ。しかしながらドイツにおけるマンガの出版統計資料は、たとえばフランスと比べて、不足している感は否めなかった。
日本語で読める資料としては、JETRO(日本貿易振興機構)の調査による「ドイツにおける日本マンガ市場の実態」(2006年)、「欧州におけるコンテンツ市場の実態(輸出促進調査シリーズ)」(2007年)、「ドイツにおけるコンテンツ市場の実態」(2009年)、「フランスを中心とする欧州におけるコンテンツ市場の実態2008-2009」(2009年)、「フランスを中心とする欧州のコンテンツ市場」(2011年)などがあった。ここでも、データの豊富さに押されるかたちで、調査対象の中心がフランスへと移っていったすがたが見てとれる。
だが今年からは多少状況が変わってくるかもしれない。ドイツのアルフォンス出版が、市場分析や出版統計資料、さらにはさまざまな記事を載せた年鑑を毎年出版することにしたからだ。2010年度の市場を分析した『コミック・レポート2011』(Comic report 2011)はすでに出版されている。第1号は総ページ数144ページで、市場分析のほかにイベントや出版社、出版物についてのレポートが寄せられている。日本マンガ・レポートの一部など、内容の一部がホームページからダウンロードして試し読みできるようになっている。
「コミック・レポート」のホームページ