スイスのローザンヌで、2014年9月11日から14日にかけて、マンガ・フェスティバル「ベデ=フィル」(BD-FIL)が開催される。2005年から毎年開かれており、今年でちょうど10年目を迎えるフェスティバルだ。ただ、このフェスティバルは1984年からシエルで開催されていたイベント(Festivals de BD à Sierre)を受け継ぐものであり、その時から数えれば、すでに30年を超す歴史を持っている。

シエルからローザンヌに場所を移したのは、シエルでのイベントが予算の問題で中止されたことを受け、ローザンヌ市が名乗りをあげたからだ。かつてシエルでは、一回の開催に約140万スイスフラン(約1億6000万円)がかかっていたと言われるが、「ベデ=フィル」はほぼその半分の約75万スイスフラン(約9000万円)で賄われている。そのうちの約半分(40万スイスフラン)をローザンヌ市が負担し、15%から20%が企業のメセナ、同じく15%から20%がチケットや場所貸し代といった自己収入、10%から15%がスポンサーからの収入、残りの約5%がヴォー州からの援助という割合で運営されている。

財団法人「ローザンヌ・マンガ普及財団」が運営を担っており、ローザンヌ市の公共図書館と協力しながら、このフェスティバルの運営にあたることになっている。

ローザンヌ市公共図書館内には「ローザンヌ・マンガ・センター」(Centre BD de la Ville de Lausanne)が設置されていて、1970年代から収集を始めた約15万点の資料を所蔵している。専従のスタッフがいるためかなり系統だったコレクションを形成しており、組織としての活動もさかんだ。

ローザンヌも含むスイス西部ではフランス語が公用語として用いられており、今日のフランスで最も売れている作品のひとつである『Titeuf』の作者zep氏がスイス人であったり、また主にフランスで近代マンガの祖とみなされているロドルフ・テプフェール(1799-1846)もジェネーブの出身であったりと、フランスのマンガ業界とのつながりが深い。

フランス語圏のマンガ・フェスティバルとしてはアングレームのものが有名だが、ローザンヌのフェスティバルも未だその参加人数では遠く及ばないものの(アングレーム:約20万人、ローザンヌ:約3万人)、年々その存在感を増していると言っていいだろう。

ローザンヌ・マンガ・フェスティバル「ベデ=フィル」
http://www.bdfil.ch