先週は、フィリピンで開かれる日本の女性マンガに関する国際会議についてお伝えしたので、今回はフランス語圏における女性マンガに関する話題をお届けしよう。
2015年末に刊行予定の女性マンガに関する論文集が、現在その寄稿者を募集している。この本は、ブリュッセル自由大学のLaurence Brogniez氏や、ルーヴァン・カトリック大学のStéphanie Delneste氏、あるいはカナダのケベック州立図書館・文書館で開かれた日本マンガに関する展示(メディア芸術カレントコンテンツ内関連記事)のキュレーターを務めたMira Falardeau氏などが編集委員として参加しており、フランス語圏(カナダ、フランス、ベルギー、スイス、アフリカ諸国)における女性によって描かれたマンガをテーマとして取り上げる予定だ。
フランス語圏におけるマンガは、これまで基本的に作者も読者も男性であるとされてきた。しかしながら近年の調査では、女性の占める割合が増加傾向にあるそうだ。
フランスのポンビドゥー図書館が2011年に行ったアンケートでは、4580人の回答者のうち男性では38%が、女性では21%がマンガを読むと答えている(年齢別の詳しいレポートが、アングレーム国際マンガ・イメージ都市のブログに掲載されている)。また「フランス・マンガ評論家・ジャーナリスト協会」の年次報告書では、2013年において1492人いるとされた全マンガ家のうち、12.3%(184人)が女性作家だった。この数字は、女性が相変わらず少数派であることを示すものであるにせよ、2001年の7.2%よりは確実に増えている。
実際、2000年頃からフランスのマンガ界では女性作家が目立つようになってきた。その代表は『ペルセポリス』作者であるマルジャン・サトラピ氏だろう。またペネロペ・バジュー氏やマルゴー・モタン氏など、ブログでエッセイ風マンガを発表する女性作家も登場しはじめた(なお、ペネロペ・バジュー氏は2014年11月23日に開かれる海外マンガ・フェスティバルに合わせて来日する予定だ)。
2014年に限っても、ロール・ガランシェール氏の『オピウム』やキャロル・マルティネ氏(原作)とモー・ベゴン氏(作画)による『闇の口』など、つい先日発売されたばかりだが女性作家の手によるいくつかの作品がすでに評判になっている。2013年に話題となった作品としては、2014年度アルテミシア賞(メディア芸術カレントコンテンツ内関連記事)のノミネート作品リストが参考になるだろう。
今回募集されている論文は、物語論、社会学、テーマ論などその手法は問わないが、(だいたい)2000年以降に登場した、フランス語で創作され、少なくとも作者のひとりが女性である作品を対象としていることが条件になっている。詳しい募集要項はリンク先を参照してほしい。
フランス語圏における女性マンガに関する論文募集(仏語)
http://www.fabula.org/actualites/pratiques-de-la-bande-dessinee-au-femininexperiences-formes-discours_64040.php