テレビ東京が2011年12月1日より、中国でアニメの同日配信を開始する一方、アメリカ最大の日本アニメ販売・流通会社であるファニメーションも2011年11月より、アニメ作品の有料配信に乗り出している。どちらも草の根で広がる違法配信に対抗する狙いがあると思われる。
まず、テレビ東京は、中国のインターネット動画サイト土豆(Tudou)」で、同局で放送中の『NARUTO—ナルト—疾風伝』などを開始した。日本での放送終了から約1時間後に、北京語字幕をつけ、広告を入れた無料配信をおこなっている。こうした取り組みは在京キー局初の取り組みだという。今後は『BLEACH』『SKET DANCE』などの作品も即日配信していく予定で、さらに過去の人気作も配信も計画している。こうした正規の配信を広めることで、違法配信を駆逐していく狙いがある。
一方、ファニメーションは、従来おこなってきた無料配信に加えて、11月3日より「Elite Subscription」というサービスをスタート。月額7.95ドルで、200タイトル以上5500話のTVアニメ、アニメ映画をCMなしで見ることができる。無料配信のものと異なり、カット等のない完全版で、かつ無料より先行して配信されるところがセールスポイントだ。
アメリカでは、ファンサブと呼ばれる違法配信が多く、有料配信事業はハードルが高いと考えられている。しかし2009年からアメリカのクランチロール社を通じて有料会員制(月額6.95ドル)の同日配信をおこなってきたテレビ東京は11月の社長の定例会見で、会員は現在7万人弱に達し、採算ベースに乗ったと報告した。これは有料配信がある程度根付いたことの目安でもあり、今後、ファニメーションの有料配信がどれほどのファンを獲得するかが注目される。
アメリカで一定の成果を上げつつあるテレビ東京の同日配信が、中国でも成功の回路に乗るか。またそのテレビ東京のアメリカでの成功を追いかけるかたちになったファニメーションが、市場を拡大するのかどうか。これらの動きの成否が、正規配信が違法配信よりも優位に立てるかどうかに大きく影響してくるはずだ。
米国ファニメーション アニメの有料配信サービススタート(アニメ!アニメ!ビズ)