アメリカ・ロサンゼルスにあるセンター・フォー・ビジュアル・ミュージック(Center for Visual Music、通称CVM)は、抽象アニメーション史を代表する作家オスカー・フィッシンガーによる「光の空間芸術」(Raumlichtkunst)の再現インスタレーションの巡回展示をおこなうことを発表した。

「光の空間芸術」のオリジナルは、フィッシンガーが1926年におこなった、抽象アニメーション映像のマルチプロジェクションを用いるパフォーマンスだが、今回、ハイビジョンのプロジェクター3台を用いたインスタレーションとして再現される。同インスタレーションは今年6月にニューヨークのホイットニー美術館とロンドンのテート・モダンで展示されることが現在決定しており、その他世界各地を巡回する予定である。

CVMはここ数年、フィッシンガーの知られざる作品の発掘とデジタル・リマスター、ニュープリントの作成に取り掛かっており、昨年のシュトゥットガルト国際アニメーション映画祭をはじめとする、レア作品を交えた上映ツアーの記憶も新しい。

フィッシンガーについては、1920年代に制作した「スタディ」シリーズがクラシック音楽のレコードの宣伝のために作られていたことから、ミュージック・ビデオの先駆とみなされることもある。2010年にICCにて開催された「みえないちから」展でもその思想がフィーチャーされるなど、今でも注目を集めている。今回のインスタレーションの巡回展示は、映像作品や独特の思想とはまた異なる、巨匠の知られざる新たな側面を発見するまたとない機会となるだろう。

センター・フォー・ビジュアル・ミュージックのイベント・ニュースのページ(英語)

http://www.centerforvisualmusic.org/Events.htm

シンディ・キーファ氏によるフィッシンガー「光の空間芸術」についての論文記事(英語)

http://www.centerforvisualmusic.org/CKSLAexc.htm