2013年10月26日と27日、東京・国立新美術館で「TOKYO ANIMA!」が開催される。
TOKYO ANIMA!はアニメーション作家の水江未来氏と藤田純平氏が主宰する短編アニメーションの上映イベントで、日本の若手作家の作品を中心としたオムニバス上映の形式をとっている。
TOKYO ANIMA!の第一回が行われたのは2010年3月、六本木にて2009年より毎年開催されているオールナイトのアートイベント「六本木アートナイト」の一環としてであった。2011年、2012年も同様のかたちで行われたのち、2012年より同イベントから独立した秋の開催も行われるようになっている。
第一回のホームページに書かれているように、このイベントが開催されるようになった経緯には、短編アニメーションという特殊な形式が抱えるジレンマが大きく関わっている。日本では2000年代に入って美術大学でアニメーションの専門教育が始まり、それに伴って個人制作の短編アニメーション作品が多く作られるようになった。その質の高さは世界的に定評があるが、一方で、学生時代に優れた作品を作り、高い評価を受けたとしても、短編作品という市場的にはあまり価値が見いだされにくいフォーマットゆえに、卒業後に作品を作る機会をなかなか得ることができないという状況ができあがってしまっている。
TOKYO ANIMA!を主宰する水江氏と藤田氏はともに2000年代に多摩美術大学のグラフィックデザイン学科でアニメーションを学んだ、まさにそのような状況のリアリティを体験してきた世代である。美術大学出身のアニメーション作家が、短編アニメーションをめぐる環境の整備のために制作以外の活動を積極的に行うという例は、DVDのリリースや短編作品の劇場配給、作品の製作・プロデュースを手がけるCALF[http://calf.jp](水江氏はこの活動にも過去関わっている)や、今年に入って始まった雑貨販売イベントANIME SAKKA ZAKKA(現在東京藝術大学大学院映像研究科で学ぶ若井麻奈美氏と中内友紀恵氏が主宰している)など、最近増えはじめているが、TOKYO ANIMA!もまた、短編アニメーションへの認知を高めるための活動として、これらの流れのひとつとして位置づけられるものである。
TOKYO ANIMA!は、学生作品の良作から卒業後の活動の中で完成させたものまで含め、現在の日本において活きのいい作家を集めるショーケース的なイベントであり、入場無料ということもあり、上映会場は毎回かなりの盛況となっている。短編作家にとって、制作を続けるためのモチベーションとなることに加え、六本木アートナイトとの協力もあり、普段、短編アニメーション作品に触れる機会のあまりない美術ファンへのアピールを行うことができているのもまたひとつの成果であるといえよう。
今回開催されるTOKYO ANIMA!は、ブラックとホワイトと名付けられた2プログラムの上映が主となるが、27日にはアーティスト・トークのプログラムで姫田真武氏(今年のオタワ国際アニメーション映画祭の学生部門において、Honorable Mention(選外佳作)を受賞している)が登壇することが決まっている。
プログラムの詳細については、公式ホームページを参照のこと。
「TOKYO ANIMA!」公式ホームページ