山口情報芸術センター[YCAM]にて、2月18日(土)から新作インスタレーション展「Vanishing Mesh(バニシング・メッシュ)」が開催される。展覧会のタイトルは、「技術革新によって見えなくなっていく様々な境界線や囲い」を暗示するもの。日常の様々な物がインターネットに接続されるIoT(モノのインターネット)といった状況が進むなか、テクノロジーを取り込んだ芸術表現によって、現在の情報環境の批評を試みる展覧会となる。

 展示アーティストは、菅野創+やんツーとサイン・ウェーブ・オーケストラの二組。菅野創+やんツーは2011年から共同制作をおこなっており、翌年の第15回文化庁メディア芸術祭アート部門にて新人賞を受賞している。このとき出展したのは、二重振り子の動きを利用し描画する機械《SENSELESS DRAWING BOT》。主な展覧会として、メディアシティソウル(ソウル市美術館、2012)、札幌国際芸術祭(2014)、ICC Open Space(2015)、あいちトリエンナーレ(2016)などがある。

 今回の展覧会には、《Avatars》という作品を展示する予定。この作品は、電話、カラーコーン、車といった日常のなかの様々な物体からなるインスタレーション作品。それぞれの物体にはカメラ、マイク、モーターなどが組み込まれており、インターネットに接続されている。展覧会開催と同時に開かれる特設サイト(avatars.ycam.jp)を介して、鑑賞者はウェブ上からそれぞれの物体にアクセスし、遠隔地からでも作品を鑑賞することができる。

 もう一組のサイン・ウェーブ・オーケストラは、2002年に古舘健、城一裕、石田大祐、野口瑞希の4人をコアメンバーに結成されたプロジェクト。「音の最も基本的な要素といわれるサイン波を参加者一人一人がそれぞれ一つだけ使うことができるというルール」のもと、集合的なパフォーマンス、展示をおこなっている。主な展覧会として、MART(イタリア、2006)、LNMM(ラトビア、2006)、Edith Russ Haus(ドイツ、2010)、東京都現代美術館(2013)、恵比寿映像祭(2015)などがある。今回の展覧会では三つの新作の展示を予定している。どの作品もプロジェクトの特徴であるサイン波を用いており、会場を訪れた人の参加を作品の重要な要素のひとつとしているようだ。

 展覧会の開催と合わせて、2月18日(土)18時半からはオープニング・ライブもおこなわれる。参加アーティストはKyoka(キョウカ)、duenn+Madegg(ダエン+マッドエッグ)、サイン・ウェーブ・オーケストラの古館健、石田大祐の4組。申込みは不要で先着100名まで、料金は無料となっている。

 展覧会は5月14日(日)まで開催されている。

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展覧会メインビジュアル
画像提供:山口情報芸術センター[YCAM]

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菅野創+やんツー
画像提供:山口情報芸術センター[YCAM]
撮影:Gottingham

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サイン・ウェーブ・オーケストラ
画像提供:山口情報芸術センター[YCAM]
撮影:Gottingham