1980年代のホビーパソコン全盛期、パソコン少年たちはBASICと呼ばれるプログラミング言語でゲーム作りを楽しんでいた。しかし家庭用ゲーム機の普及に伴い、自作ゲーム文化も下火に。ゲーム産業の国際競争力が低下した背景の一つには、こうしたプログラミング文化の縮小がある。
一方で新学習指導要領に基づき、2012年度から中学校の技術・家庭課で「プログラムによる計測・制御」が必修になった。そこで注目を集めているのが、ブラウザ上でできるウェブ・プログラミングだ。本書「12歳からはじめるHTML5とCSS3」もまた、その格好の入門書となっている。
著者のTENTOは子ども向けプログラミングスクールの主催団体で、本書も実際のカリキュラムをベースに構成されている。オールカラーでイラストがふんだんに使用されており、文字も大きく、説明も簡潔だ。ホームページ作りを通してウェブ記述言語のHTMLを段階的に学習でき、JavaScript言語の基礎まで学べる。
ホームページ作りとプログラミングは、一見すると関係がないように見える。しかしソースコードを記述して、それを実行するという意味では、どちらも同じだ。ゲームや動画配信、各種アプリケーションなど、ウェブの役割もどんどん拡大している。今やホームページ作りは、プログラミングの最も身近な入り口だと言えるだろう。
ホームページ作りで身につくデザイン力や、プログラミングで身につく集中力や論理的な思考力は、社会に出てからも幅広く役に立つ。課外授業や家庭で本書を片手にホームページを作ってみてはどうだろう。一方で出版社側にも続刊「12歳からはじめるゲームプログラミング」を期待したい。
『12歳からはじめるHTML5とCSS3』
著:TENTO、出版社:ラトルズ
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