日本デジタルゲーム学会(DiGRA JAPAN)は東京工業大学で2012年7月28日、夏期研究発表大会を開催し、研究者や学生、ゲーム開発者など約40名が参加した。基調講演ではシューティングゲーム「ゼビウス」などの生みの親として知られ、研究委員会委員長も勤める遠藤雅伸氏と、『オンラインゲームを支える技術−壮大なプレイ空間の舞台裏』を上梓し、CEDEC AWARDS 2011で著述賞を受賞したネットワークエンジニアの中嶋謙吾氏、数々のゲーム開発者向け技術書を出版してきたソフトバンククリエイティブの品田洋介氏が登壇し、「いいからお前も本を書け!〜日本独自のノウハウを未来に残すには」と題してパネルディスカッションを行った。
DiGRA JAPANは日本国内におけるデジタルゲーム研究の発展と普及啓蒙をめざして2006年に設立された学会組織で、2010年度より毎年冬に国内主要都市で年次総会を巡回開催している。これに対してデジタルゲーム研究者が相対的に多い東京でも、定期的な研究発表の場を設ける気運が高まり、今回の開催へと繋がった。
会場ではゲームAI(人工知能)の新しいアルゴリズムから、ネットコミュニティにおける言説の変化、さらには「ゲームデザイナーが乗用車のチュートリアルを作ったら」といった、バラエティ豊かな6本の講演発表が行われた。基調講演で遠藤氏は議論を▽まずは本を書いてみる▽自分一人ではなく、編集者と協力して書く▽わかりやすく書くことを心がける−−の3点に整理して、多くの開発者に業務で培ったノウハウに関する書籍化を呼びかけていた。
講演予稿集はウェブ上で公開されており、当日の模様もユーチューブ上で録画配信されている。
日本デジタルゲーム学会夏期研究大会2012