東京ゲームショウ2014が2014年9月18日から21日まで千葉・幕張メッセで開催され、歴代2位の25万1832名の来場者を数えた。昨年度はソニー・コンピュータエンタテインメントの新型ゲーム機、プレイステーション4の国内初出展という目玉が存在したが、今年度はトピックが様々に分散し、いわゆる「幕の内弁当」的な内容となった。

東京ゲームショウはアメリカのE3(6月)、ドイツのGamesCom(8月)に並ぶ世界三大ゲームショウだ。E3が流通商談会、GamesComが開発者会議のGDC Europeと連続して開催されるのに対して、東京ゲームショウは前半2日がビジネスデイ、後半2日が一般公開日という、両者の中間的な性質を持つ点が特徴だ。

1996年にスタートした東京ゲームショウだが、年数を重ねるごとに変化を続けてきた。当初は主催団体である一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)の会員企業に出展が限定されていたが、規定の撤廃と共に出展者が拡大した。1997年から2001年までは春・秋の2回開催だったが、2002年から秋の1回開催となり、2007年からは3日間だった会期が1日延長され、4日間となっている。出展者も企業だけでなく、学校・大使館・独立系のインディゲーム開発者と多様性を増してきた。

中でも近年目立つのがモバイル・ソーシャルゲーム関連企業で、これには日本市場の急速な業態変化が背景にある。CESAの年次報告書「2014CESAゲーム白書」によると、2013年の国内家庭用ゲーム機の市場規模はハードウェアが1558億円、ソフトウェアが2537億円で、合計4095億円に留まった。一方でスマートフォン向けソーシャルゲームの市場規模は3591億円、フィーチャーフォン向けは1613億円、PC向けもあわせたソーシャルゲーム全体の市場規模は2013年で5346億円となり、家庭用ゲーム機市場を上回っている。

そのためビジネスデイ初日に行われる基調講演も、今年はスマートフォン向けゲームを展開する国内外5社のパネルディスカッションとなった。東京ゲームショウの基調講演がパネルディスカッション形式で行われるのは初めてのことで、変化の激しい業界の現状を反映した形だ。また基調講演の第二部では検索エンジン大手のGoogleが登壇し、スマートフォンやタブレットに加えて、新たにGoogle TVでのゲーム体験を披露。ゲームプラットフォームのさらなる拡大をアピールした。

もっとも東京ゲームショウに足を運ぶユーザーは、伝統的に家庭用ゲーム機向けのゲームに関心が高い。そのため各社共に最新のゲームソフトを展示してアピールを行った。中でもVR(仮想現実)に対応したヘッドマウントディスプレイの展示は、次世代のゲーム体験ができるとあって、早々に入場整理券の配布が終了したほどだ。低予算ながら独創性の高いゲームを集めたインディゲームコーナー、日本独自のゲーム文化でもある女性向けの乙女ゲームコーナーなども人気を集めた。

他に今年は大手メーカーやメディアブースでの、ニコニコ生放送を使用したインターネットによる番組配信が定着した。そのため、多くの視聴者が家庭にいながらにして、各メーカーのステージイベントや新作発表などを楽しむことができた。またインディゲーム開発者の有志による団体「インディストリームフェス」も会期中に幕張メッセ・国際会議場でパーティを実施し、インディゲームの勢いをさらに印象づけた。

ただし懸念点もある。小学生以下の親子連れを対象としたファミリーコーナーの来場者が、2012年の32,376人をピークに2年連続で減少したのだ。2013年は20,317人、2014年は15,196人と半分以下となっている。一般公開日初日が小雨模様となり、来場者が5,951人と半減した影響は無視できないが、ファミリーコーナーだけのリピーター率も気になる。主催者にはさらなる「おもてなし」の向上を期待したい。

全来場者とファミリーコーナーの入場者数・参加企業の推移
2010 207,647人 13,156人 8社
2011 222,668人 23,646人 7社
2012 223,753人 32,376人 9社
2013 270,197人 20,317人 12社
2014 251,832人 15,196人 8社

東京ゲームショウ2014
http://expo.nikkeibp.co.jp/tgs/2014/