NPO法人国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)は2014年11月3日、自主開発ゲームの公開ユーザーテストイベント「東京ロケテゲームショウ2014」を、板橋グリーンホール(東京都板橋区)で開催した。会場には29団体(個人・企業・サークルなど)、約100名の出展者がオリジナルのゲームを出展し、約120名の一般ユーザーが参加して、感想や改善点を開発者に伝えたほか、出展者同士の交流も行われるなどして賑わいを見せた。
ゲーム開発環境の無償化や、スマートフォン向けゲーム市場の拡大などで、同人・インディーズをはじめとした、自主制作ゲームの波が拡大している。中には「ひぐらしのなく頃に」「東方プロジェクト」など、家庭用ゲーム市場でヒットを記録したり、メディアミックスに展開されたりする例もあるが、その多くはマニア向けに留まっているのが実情だ。
また良質なゲームを開発するためには、開発途中でのユーザーテストが必要だが、自主制作ゲーム開発者にとって大規模なユーザーテストを実施することは不可能に近い。そこで自主制作ゲームの認知度向上とユーザーテストを目的に企画されたのが本イベントだ。第1回目は2009年に秋葉原で開催され、中断をはさんで今年は4回目の開催となる。
本イベントの最大の特徴は会場でゲームが頒布されず、ユーザーテストに特化している点だ。これまで自主制作ゲームの多くは年2回、東京ビッグサイトで開催されるコミックマーケットを中心に頒布されてきたが、そのためにはゲームを完成させる必要があった。また会場でも頒布が中心で、交流の機会に乏しかった。これに対して本イベントでは開発途中のゲームが出展されたり、一般参加者も一緒になってゲームの改善に協力したりと、独特の雰囲気を醸し出している点が特徴だ。
ゲーム業界の激しい変化の波を受けて、出展作品も変化してきた。1回目の開催ではほとんどがPCゲームだったが、年を追うごとにスマートフォンやタブレット向けのゲームが増加。PlayStation Vitaでのゲームも見られるようになった。さらに今年度はオキュラスリフトなど、没入型VRデバイス向けのゲーム展示も見られた。出展者も同人・インディーズゲーム開発者に加えて、専門学校や大学のサークル、企業の経営者有志によるサークルの出展も見られた。
一方で本イベントをきっかけに、自主制作ゲーム向けのイベントも活性化してきた。節目となったのが2013年で、京都で「BitSummit」、東京で「デジゲー博」が開催され、東京ゲームショウでも「インディーゲームコーナー」が設置されるなど、国内外で注目を集めた。自主制作ゲーム向けの大型イベントは90年代を境に消滅し、以後はコミックマーケットを中心に頒布されてきたが、ここにきて再び盛り返しつつある。
またモバイルデバイスの普及に伴い、位置情報サービスを利用したゲームなど、従来の手法ではユーザーテストが困難なゲームも登場しつつある。主催者側ではゲームの進化や拡散にあわせて、今後様々なユーザーテストの機会を提供していく予定だ。
東京ロケテゲームショウ2014
http://tlgsigdajp.wordpress.com/