ゲーム開発者コミュニティの文化祭「ゲームコミュニティサミット2014」(主催:ゲームコミュニティサミット2014実行委員会)が国立情報学研究所(東京)で2014年7月5日に開催され、関係者・一般来場者含めて約300名が参加した。第3回となる今年度は、新たにゲーム開発者に創造のヒントを与えるデモコーナー「Inspiration Seeds」や、招待講演、コミュニティ同士のコラボセッションなども行われ、より幅の広い内容となった。

ゲームコミュニティサミットは近年盛り上がりを見せているゲーム開発者向け勉強会やコミュニティが一堂に会して、お互いの活動内容を紹介したり、よく議論されているトピックなどを議論したりする総合勉強会。GamePM、ゲーム開発者コミュニティ、NADEC、ゲーム開発環境勉強会、NPO法人IGDA日本の代表で実行委員会を結成し、2012年からスタートした。今年は22団体が参加し、5トラック23セッションが開催された。

デモコーナーの「Inspiration Seeds」では、ゴーグル型VRディスプレイのOculus Riftをはじめ、最先端のデバイスを用いた作品が展示された。ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンと慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科は軽くジャンプするだけで120メートルまで飛び上がる感覚が体験できるOculus Rift用アプリケーション「Hiyoshi Jump」を出展。国立情報学研究所の稲邑研究室はロボット分野における学際的な共同研究を行うためのソフトウェアプラットフォーム「SIGVerse」を出展していた。

コラボセッションではOculus Riftの開発者コミュニティであるOcuFesと、KinectやLeap MotionなどのNUI(ナチュラルユーザーインターフェース)を対象とするTokyo Motioncontrol Networkが技術講演を行った。続くパネルディスカッションでは「Oculus RiftのようなVRディスプレイでは、従来のコントローラにかわる入力デバイスが求められており、NUIもその一例として注目を集めている」として、双方の開発者が議論を展開した。

「文化庁メディア芸術祭の使い方」というセッションでは、第17回文化庁メディア芸術祭でエンタテインメント部門の審査員を務めたゲーム作家の飯田和敏氏が登壇した。飯田氏は「受賞作品は50年後も100年後も記録され、その時代を象徴する作品として参照される」と指摘。一方で審査員は短期間に大量のゲームをプレイするため、ゲームの核となる部分を抽出して応募してほしいことや、広報用の資料を送付するのは避けた方がいいことなどを訴えた。

ゲーム業界はアーケードゲーム、家庭用ゲーム、モバイルゲームなど様々な分野があり、会社ごとに文化も異なるため、同じ社内でもプロジェクトが異なれば情報共有が行われないなど、閉鎖的な環境が続いていた。しかし2000年代後半からソーシャルゲーム市場の拡大でIT業界の文化が流入しはじめ、ゲームエンジンの普及なども手伝って状況が変化。今では様々な勉強会が開催され、情報の共有が進んでいる。今後はエンジニアリングなど共有化しやすい情報から、ゲームデザインやグラフィックなど、属人化されやすい情報共有への広がりが期待される。

ゲームコミュニティサミット2014
https://sites.google.com/site/gamecs2014/