概要
1)マンガ原画のアーカイブ(=〈収集〉〈整理・保存〉〈活用〉)作業の実施。将来的な発展的原画アーカイブについてのマイルストーンを作成し、関係機関先との認識を共有する。
2)連携機関のネットワーク構築とハブとなる拠点形成を確立する。横手市増田まんが美術館内に設置を検討している「マンガ原画アーカイブセンター(仮称)」の活用について協議していく。
最終報告会レポート
報告者:京都精華大学 国際マンガ研究センター 伊藤遊
収集・整理保存・活用の窓口業務を一元化し、地域施設間連携のハブ機能とするマンガ原画アーカイブセンターを、横手市増田まんが美術財団を中核として創設。その実装化に向けて、全国の文化施設1,174件にマンガ原画のアーカイブに関してアンケートを行った。その結果652件の回答があり、約300館がマンガ原画の収蔵や展示に関心があり、その半数が今後マンガの原画を収蔵することを前向きに考えていることがわかった。しかし、すぐに大規模な受け入れができる体制ではなく、情報共有やネットワークづくりの必要性を実感した。今後は、こうした文化施設の収蔵相談を受け、個別要望をくんだ処方箋づくりを進めるなど、連携・活用の推進を目指し、全国的な発展に向け関連施設とのネットワーク構築や人材育成に取り組んでいく。5年後を目途に自走環境も整えていく方針だ。
ほかにも、アーカイブに関する意見集約、マニュアルの作成、シンポジウムの開催、原画支持体・画材研究として光耐性実験を行った。今年はカラー原画の光耐性についての化学的な研究を、東洋美術学校の協力で行った。肉眼では判別しにくい経年変化があることもわかり、より最適な保管方法について考えるための知見を得られた。この結果は可能な限り公開していきたい。
伊藤遊(左)、報告の様子(右)
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