概要

産・学・官・民・自治体等の連携・協力により、メディア芸術分野の文化資源として重要な位置を占めるマンガ(大量複製された刊本)の史資料の収集・保存・活用を実践し、その成果を検証することで、作業手法の深化や開発を図る。同時に、連携型アーカイブの構築のためのアーキビスト育成と、マンガ文化の保存の意義を広く一般に啓蒙普及していくための事業を行う。

最終報告会レポート

報告者:特定非営利活動法人 熊本マンガミュージアムプロジェクト
    熊本大学 文学部 鈴木寛之

熊本県の森野倉庫を複本プールとし、京都国際マンガミュージアム、明治大学、北九州市漫画ミュージアムから移送されたマンガの刊本の複本を集約、移送先の施設に合わせてパッケージ化、国内外の機関に移送している。国内では高知まんがBASE、湯前まんが図書館といった文化施設、国外では南米の大学など研究機関を移送先とした。こうした活動を通じ、マンガアーカイブに関する専門的知見の集積と継続的な人材育成も行った。今回の事業では大学院生を中心に以上の作業を進め、アーカイブに関するスキル、複本プールに関するスキル、報告書作成スキルを身に付けてもらった。複本プールで行った作業をもとに、雑誌・単行本の区分、セット・パッケージの作成、リスト作成、搬出に至るまでのプロセスのマニュアル化を行った。そのなかには合志マンガミュージアムに勤務することになった学生もおり、本事業で培った能力を実際の現場に生かすことにもつながった。以上の取り組みにより、将来的なマンガの分散型ナショナルアーカイブの、先駆的かつ具体的なモデルが提示できた。今後は、国内外施設との連携の強化・拡大に備えた制度や組織の構築、産業界と産・学・館(官)の連携、マンガ原画アーカイブ事業との一体化等を通し、マンガアーカイブのネクストステージの実現を目指したい。

鈴木寛之(左)、報告の様子(右)

実施報告書(PDF 約1MB)

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