概要

アニメーションや特撮の制作において発生する中間制作物(原画やミニチュアなど映像制作過程で作られるもの全般)は、利活用価値の高い貴重な存在であるが、映像完成後に破棄されるのが通例で、例外的に残されたものも未整理で保存状態が良好とは言えない。中間制作物を文化財として保存し有意義に利活用するために、整理・保存の実践とその方法論構築に向けた調査研究事業を行う。

最終報告会レポート

報告者:特定非営利活動法人 アニメ特撮アーカイブ機構(ATAC) 辻壮一

教育や展示活用を目的としてアニメや特撮の中間制作物保存の機運が高まっているが、フィルムや音響素材が最優先となり、それ以外は廃棄あるいは倉庫に保管したままというのが現状であった。本事業を実施したATACでは、こういった中間制作物の保存・整理を進めてきた。
本事業では、整理作業実践のテストケースとして未整理のアニメ中間制作物、約20年分約440箱の整理を、第一次から第三次調査に分けて行った。作業者は13人で、そのうち8人が中間制作物の保存・管理のノウハウを持たない若い参加者である。まずは全体の中身を確認してリスト化。それから、作品や種別に分けて確認して、最終的には、作品ごとに分類して1点1点チェックしていった。
一番問題になったのが、情報共有の方法であった。限られたスペースの中で大人数が一斉に作業を行うため、クラウド在庫管理ソフトを導入し、PCやスマートフォンを駆使して情報の管理・共有を行った。資料の分量に対する作業時間と人員の見積もり目安の把握、若い参加者のノウハウ蓄積、資料に知見のある者と未経験者の分業による知識不足の補完と作業効率化等、有用な知見が得られた。

辻壮一(左)、報告の様子(右)

実施報告書(PDF 約3.3MB)

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