クラウドゲームサービスを提供するGAIKAI社とOnLive社は、2012年1月10日から13日まで、米ラスベガスで開催された世界最大級の家電見本市「CES」(Consumer Electoronics Show)の開催中、インターネットと接続された「スマートTV」との提携を相次いで発表した。今後テレビゲームが専用機なしで遊べるようになると、業界の勢力図が大きく変化する可能性がある。
クラウドゲームはサーバ上に存在するゲームを、プレイヤーがインターネットを経由して、家庭のテレビなどでリアルタイムにプレイできる仕組みのこと。画像データをフレーム単位で送信することで、プレイヤーはゲーム専用機や高価なPCなどを用いることなく、最新のゲームソフトをプレイできる。国内でも、NHN Japanが2011年10月15日より、NTTドコモの「Xi」(クロッシイ)に対応したタブレット端末向けに「ジークラウド」を開始している。
GAIKAI社は2012年1月10日(現地時間)、韓国LG電子と戦略的提携を締結し、2012年より発売する「LG Cinema 3D TV」で同社のクラウドゲームサービス「GAIKAI」がプレイできると発表した。
LG電子は今後、GAIKAIをLG Smart TVのエコシステムにおいて、ポータルゲームサービスとして位置づけ、運営していく。テレビを購入してインターネットに接続し、電源を入れればすぐに最新ゲームがプレイできるようにする予定だ。
これに対してOnLive社は2012年1月11日(現地時間)、同社のクラウドゲームサービス「OnLive」が、ソニーとGoogleが提供するGoogle TVに対応したと発表した。現在はゲームのプレイ風景を見るだけで、実際にプレイすることはできないが、「OnLiveはGoogleと密接に協力しており、Google TV上で世界中のゲーマーがOnLiveでの完全なゲームプレイ体験の実現を目指している」とコメントしている。
現在クラウドゲームサービスで配信されているゲームは、PS3、Xbox360、PC向けゲームが中心で、モーションコントローラーで操作するWii向けの配信例はほとんどない。今後クラウドゲームサービスが普及すると、サードパーティには販売チャネルが増える一方で、ハードメーカーには新たな差別化戦略が求められる。ゲーム機ならではの新しいゲーム体験の追求で、バーチャルリアリティをはじめ、メディアアートの要素技術がさらに求められていくかもしれない。
CES公式サイト