国際非営利団体GlobalGameJamは2016年1月29日(金)から31日(日)まで、ギネスブックにも認定された世界最大規模のゲームジャムイベント「GlobalGameJam(GGJ)2016」を実施する。経歴もスキルも多様な参加者が即席でチームを作り、テーマに沿って48時間でゲームを作り上げるイベントで、全世界で約3万人の参加が見込まれている。
■北欧のゲーム開発文化を背景に誕生
GGJは2000年代後半から北欧ではじまったNordicGameJamを母体に、国際ゲーム開発者協会 (IGDA)教育専門部会の主催で2009年からスタートした。テーマは「イノベーション・協働・実験」で、あえて誰もやっていないイノベーションにチャレンジすることや、実験的な作品を制作することが奨励されている。
コンテストではなく人材教育に焦点を当てている点も特徴だ。特にプロとアマチュアが一緒になってゲームを開発することで、アイディアの創発や集団による学びが効果的にできるとしている。近年では国や自治体の産業支援と結び付く例も見られるようになっており、東南アジア・アフリカ・中南米と幅広い地域で会場が設立されるようになっている。
GGJは年を重ねるたびに規模が拡大し、2015年は世界78ヵ国の国と地域で518会場が設置され、28,837人が参加し、5,438作品が制作された。日本でも北海道から沖縄まで19会場が設置され、551名の参加者によって、18作品を制作。2012年には世界で最も大規模なゲームジャムとしてギネスブックに認定。2013年から運営母体がIGDAからGGJに移管され、現在に至っている。
GGJは世界規模で開催されるため、時差の関係でニュージーランド会場からスタートし、日本・アジア・欧州・アメリカと続き、ハワイのホノルル会場で終了する。ゲーム開発は会場単位で行われるが、TwitterやFacebookで会場連携が行われ、中にはストリーミング番組で開発風景を配信する例もある。完成したゲームは公式サイトで公開され、誰もが自由にプレイできる。
■著名ゲームクリエイターが基調講演ビデオに登場
もっとも、こうした特性から主催者が直接各会場を管理運営することはできない。そのため会場運営は各会場責任者の判断で主体的に行われ、一定のルール(48時間内での開発、同一テーマでの開発、制作物のアップロードなど)にもとづけば、比較的自由なアレンジができる。この「ゆるさ」があいまって、GGJの開催規模が年々拡大してきたともいえる。
毎年参加者を悩ますのがユニークなテーマだ。過去には心拍音、イラスト、散文の一説などがテーマになったこともあり、全世界の開発者によって、さまざまな解釈のもとにゲーム開発が行われてきた。主催者側では文化も言語もまちまちな世界中の開発者に対して、同じ条件でゲーム開発ができるように、テーマの設定については非常に気を配っているという。
GGJ名物の一つが全世界の会場に向けて配信される、豪華な基調講演ビデオだ。インディ(独立系)ゲームの著名開発者が選ばれ、これまでも「シムシティ」のウィル・ライトや、「DOOM」のジョン・ロメロらが登場し、メッセージを送ってきた。2011年は「塊魂」の高橋慶太氏も日本人クリエイターとして初登場。大きなあくび[https://www.youtube.com/watch?v=MbiVtYPtIqk]と共に自由なゲーム作りを訴えた。
日本のGGJはIGDA日本GGJ開催支援ユニットによって、情報発信・運営支援・協賛管理などが行われている。GGJで会場を新設するには、英語版公式サイトから申請のうえで、リージョナルコーディネーターによって承認を受ける必要がある。同支援ユニットでは国内向け公式サイトを通して、会場新設の相談などを受けつけている。