韓国最大級のゲームショウ「GSTAR(Game Show & Trade, All-Round)」(主催:韓国インターネットデジタルエンタテインメント協会)が11月17日から20日まで、釜山のBEXCOで開催された。開催初日は韓国の大学受験日にあたり、全国の高校が受験会場に充てられることから、休校日となる。会場には業界関係者に加えて多数の高校生の姿が見られた。

gstar2016_01.jpg
会場となったBEXCO

GSTARは一般ユーザー向けの展示会(B2C)、業界関係者向けの商談会(B2B)、eスポーツ大会、求人向けの合同会社説明会が一堂に会する総合イベントだ。来場者は2015年度の20万9617人を更新し、過去最多の約22万人を記録したとされる。東京ゲームショウは4日間で27万人を集客するが、以下に述べるようにイベントの位置づけが若干異なっている。

gstar2016_02.jpg
B2Cエリアの1/3をしめたネクソンブース

B2Cエリアで目をひいたのは全体の1/3に相当する巨大ブースをかまえたネクソンで、史上最多となる35作品(うちプレイアブル19作品、他は映像公開)を出展。そのうちモバイルゲームが28作品、PCオンラインゲームが7作品と、モバイルゲームが大勢を占めた。試遊向けにPCを250台、スマートフォンを300台設置したが、ほとんどのタイトルで2時間待ちの行列ができた。

gstar2016_03.jpg
手前(左側)にPC、奥(右側)にスマートフォンを並べたブース構成

日本では2016年のゲーム市場予測がモバイルゲーム7800億円、家庭用ゲーム4050億円、PCゲーム650億円だが(ファミ通調べ)、韓国では2017年の市場予測がPCゲーム7.7兆ウォン(約7200億円)、モバイルゲーム4.4兆ウォン(約4100億円)と、依然としてPCゲームのシェアが大きい(韓国コンテンツ振興院調べ)。しかし横ばいのPCゲーム市場に対して、モバイルゲーム市場は成長を続けており、大手ゲーム会社も無視できなくなってきた形だ。

gstar2016_04.jpg
アトムをあしらったLONGTU KOREAブース

他に韓国モバイルゲーム最大手のネットマーブル、老舗のウェブゼン、中国大手LONGTU GAMEの韓国法人であるLONGTU KOREA、日本からソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が同規模ブースで続いた。LONGTU KOREAは手塚プロダクションから「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」のライセンスを受け、モバイルゲーム「アトムのキャッチキャッチ」を出展し、注目を集めた。

gstar2016_05.jpg
SIEブースではPS4とPS VRのタイトルが並んだ

SIEはPlayStation(PS)4とPS VRを出展。「グランツーリスモSPORT」(SIE)、「ファイナルファンタジーXV」(スクウェア・エニックス)など家庭用ゲームの大型タイトルを前面に押し出した。他にバンダイナムコエンターテインメントがB2Cブースで初出展し、「鉄拳7」「ワンピーストレジャークルーズ」など、家庭用ゲームとモバイルゲームで人気のキャラクターゲームを出展した。

gstar2016_06.jpg
中小ブースではVRゲームが多数展示された

中小ゲーム会社や大学・専門学校ブースで、個性的なVRゲームが多数展示されたのも特徴的だった。日本と同じく韓国でもVRゲームの市場はまだ小さく、大手企業は参入に様子見なのが現状だ。こうした間隙を縫って中小企業から意欲的な展示が多く見られた。また、インディ(独立系)ゲーム会社の出展も人気を集めた。

gstar2016_07.jpg
B2Bエリアのテンセントブース

GSTARのもう一つの特徴が巨大なB2Bエリアで、例年B2Cエリアと同程度の規模を誇る。今年も中国最大手のテンセントや、Google、日本からもセガゲームスなどがブースを構え、さまざまな商談が行われた。全体規模では東京ゲームショウが勝るが、商談機能では完敗という形だ。毎年7月に上海で開催されるゲーム展示会「チャイナジョイ」と並んで、東京ゲームショウ、東アジアでのゲームビジネスのハブとなるGSTAR。それぞれの展示会でそれぞれの役割分担と補完関係が求められそうだ。